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  • 執筆者の写真すずめや

輪郭を立ち上げる

たとえば香りのようなもの

目視できないけど感じるもの

確かにそこにあるもの


先にそれがあって、

そこにひとさじ添えていくことで

そのものの輪郭を立ち上げていく行為


言葉もそうですね、詩も、日記も。

なにかがあって、実際にあって、

可視化はそれから。

だからたとえば愛という広くて力のある単語には、言葉を扱って表現をして生きていくものとして、全身の毛を逆立てて注意しながら使わなきゃ。

きもちに沿うためのことば、

ことばに寄せていくのではなく、

ことばに溺れるのではなく、

それは道具のひとつだから。


絵の具を触るようになってから、

意識的にずっとしてきたことでした。

まあ毎度のこと、ようやく言語化できるようになりました。


にじみだす抽象的な、大気のような、香りのような、そこにひとさじ、で輪郭を立ち上げる。

ただそのまま朧げであるまま、ちょっと見えるようになるくらい。

射した光を通して初めて気づく、まわりの埃のきらきらや、あの名前のわからない花の香りを覚えていること。

向こうが透けて見える幽霊みたいなもの、

触れなくても浮かんでいてそこにあるもの。


日々の暮らしもそういったもので、

ノートという輪郭があって、

そこで立ち上がってくる諸々。



立て続けに嬉しいお手紙が届いて、

とっても好きな人たちからで、

文字を追って、伝えてくれた気持ちとか、

ああこうやって笑う人だったなと、

文章を追いながら浮かんできたもの、

で、ああそうかそうか、とすとんと落ちました。


ちょっと落ちたりもしてましたが

優しい優しいを吸えるようになってきたので

回復していくんじゃなかろうかな、と思っています。


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