襲撃者

東京から帰ってきて毎晩夜中に飛び起きている。
東京にいた一週間過ごしていた愛する九時間屋では八時間ねむりそのうち六時間深い眠りというレポートが届いていたが雲泥の差。それもこれも例のどろぼう猫の訪問のおかげである。
どろぼう猫は夜更けにやってくる。主にみんみがどろぼう猫の相手をする。いつかも書いたがどろぼう髭のどろぼう猫はめちゃくちゃに顔が可愛い。だから油断するけどガラス越しにも両目かっぴらいてものすごい形相で襲いかかってくる恐ろしい猫だ。毎晩やってくるので毎晩飛び起きてみんみとどろぼう猫との仲裁をする。というかふたりとも獣の如く猛り狂っているので傍観に近いのだけれど。
しかし先日、思い至りどろぼう猫にゆったりとした瞬きをしてみたところ、どろぼう猫の反応が明らかに友好的になった。
ちょっと前に同時に茶餅丸と呼んでいる茶色のデカデカ猫が来ていて、そいつはぜんぜん威嚇もしなくて、吠えまくるみんみに対してゆったりとしたまばたきをしていたので茶餅丸に習ってわたしもまばたきをしてみたというわけ。猫の世界ではゆったりとしたまばたきは(親愛…大丈夫…仲良くしよ…)の合図なのだ。茶餅丸をみていてそれを思い出したってわけ。
ゆったりまばたきをするとどろぼう猫はイカ耳をやめて、変わらずガラス越しに両手を開いてくっつける動作はするものの、爪を出さなくなり表情も随分穏やかになったのだ。どろぼう猫はもしかしたら、うちに来たいのか?ガラス越しにわたしがみんみを宥めるために撫でているのをガン見しているのも、そういう愛情がほしいからなのか?
わかっている、どろぼう猫の顔があまりに可愛いから都合のいい妄想をしているのだ。どろぼう猫は大きさもみんなの仲間になったらちょうどいいし、模様もとってもかわいいし、毎日うちに来ているんだからうちの子になったっていいって、うちはだって、すごくでかいんだから、二、三匹猫でも犬でも増えたってかまわないんだから。
睡眠が途切れたって、いい。
今夜もどろぼう猫がまた来てくれたらいい。
みんみもモンティーヌも怒っているけどでももしかしたら、仲良くなるかもしれない。どろぼう猫はまばたきで柔和になった。本格的な冬が来る前にみんながどろぼう猫を受け入れてくれるのなら、あったかい寝床を用意してやりたい。


コメント