top of page

大風の散歩

  • 執筆者の写真: すずめや
    すずめや
  • 2025年11月7日
  • 読了時間: 2分

周りはずいぶん紅葉が進み、すべての葉が化粧をしている。

季節の変わり目には大風が吹く。

今日はそういう大風の日の散歩だった。


雫石でも毎日のようにクマに襲われたニュースが入ってくるのでポケットに大きなスピーカーをむりやり詰めて散歩に出る。

外に出た時分には細く柔らかな天気雨が降っていた。

いつか見た、砂糖を煮詰めて細く落とすことで作られる、蜘蛛の巣のような、雲のような、繊細な飴細工によく似たひかりかたをしていた。

高くなった秋の空はうす青く、ひかりもずいぶんオレンジがかっていて、照らされる薄い雨の糸はそのまま飴の糸のように見えた。


猫たちは窓の外で舞う葉っぱを追いかけるようなところがあるけれどぬげたはなんにも構わずにゆく。

ぶあつくなった落ち葉のふかふかの道をしゃくしゃくと4本足で細かく踏み砕きながらゆく。

落ち葉の道を通ることも、舗装された道を通ることも、ぬげたにとってはあまり変わりのないことみたいだ。

雨の雫でぬげたの黒いからだがすこしずつ白くひかりはじめる。


折り返し山道を我が家に戻るころには雨がやんで、風がまた強くなった。

誰もいない広い山道、スピーカーで流す大音量のエディットピアフ、空いっぱいの落葉たちは大風に乗ってすごい速度で並んで右にゆくこともあれば、ふとゆるんだ拍子に浮いたり沈んだり元来た場所に帰るように舞う。

シャンソンの不思議なリズムがまるで葉っぱと風の動きに沿うようで魔法をみているみたいだった。

エディットピアフはみためだってなんだか魔女っぽいしもしかしたらそれくらいのことはできるのかもしれない。

彼女の声に合わせて右へ左へ舞う枯葉。

美しい美しい、美しい散歩だった。


近ごろのクマはクマよけの鈴の音に寄ってくるらしいという怖い噂がある。

音を鳴らすならできるだけクマが聞いたことのない音でかつ人間の声が響くものがいいということで山に入る人々の間ではラジオが活用されているそうだ。

ということでヴォーカルのある音楽を散歩のお供にしている。

でも一度くらい、この枯葉の舞う中で、ビルエヴァンスを響かせるなんてベタなことをしてみたい。

うちのまわりのクマはきっとピアノを聴いたことがないんだから、それもいいかもしれない。

もしも遭遇したときに威嚇に使えるよう、マキシマムザホルモンはすぐ再生できるようにしてあるし。



 
 
 

最新記事

すべて表示
名古屋ラシックありがとうございました

新年の初売りを名古屋ラシックでみんなで迎えるという幸あるスタート、今年も無事に終了しました。やっぱりクリフェスはいい。末永くみんなで過ごしたい。名古屋のお客さまもお馴染みの方から通販しかしたことなかったけど思い切ってお正月に出てきたと言ってくださる方から通りがかりのギャルまで幅広くお手にとっていただきありがとうございました。 エッチなタイプの繁華街にある雑居ビル4階という立地のタイ料理屋さんにお正

 
 
 
新年あけましておめでとうございます

油没したiPhoneをたよりに名古屋まで出てきました。今のところiPhoneは妙な挙動を見せることなくふつうに動いておりなんだかそれがかえって恐ろしい。いつ発火するかわからないので指すのではなく置くタイプの充電器を持ってきました。 結局大晦日に不貞腐れたせいで元旦は朝からバタバタバタバタしてようよう飛行機に乗り込んだと思いきや雪で出発が一時間遅れ、まわりのちびっこ乗客にはパズルやおもちゃや折り紙が

 
 
 
神も仏も

このブログをパソコンから入力するのは初めてだ。 7年続けてきて初のパソコン入力。 なぜかというとさきほどアイフォンを冷えたてんぷらなべの油のなかに落としたためだ。 今日は大晦日であるが神も仏もない。後厄の最後の日だからしょうがないと考えようとしたが調べてみると厄のあけるのは節分なのだそうだ。クソッタレと天に中指を立ててやったらヤン子がねずみを咥えたまま家じゅうを爆走しはじめた。山のねずみには都会の

 
 
 

コメント


Copyright © 2018 suzumeya

bottom of page