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大森靖子さんの、強さ

  • 執筆者の写真: すずめや
    すずめや
  • 2020年3月28日
  • 読了時間: 3分

更新日:2020年3月29日

好きな言葉を綴る人が好きだといっていたから、最近急に聴くようになったミュージシャンのおんなのこ。


おんなのこ。

これは、この強さ、と思うところは。


自分で仕事なんかやってると、女でほんとに苦しいな、って思うところって正直あります。ありました。

童顔っていうのもあるんだろうと理解するんですが、なんつうか、"男の人"って顔をした人に、"人間です"って仮面をかぶったまま、よしよしされちゃうことって数え切れないほどあって。

本気の話をしているときに、例えばわたしは仕事には人生かけてきたし、これからもかけるし、そういうちゃかしたらだめなほんとの根っこの話をしていたいときに、可愛いねえ、けなげだねえ、がんばってるんだねえ、よしよし、すてきなおんなのこだねえ、甘やかしてあげようねえ、辛い思いをしてきたんだねえ、なんていう類の情を、"男の人"は"人間"としてまるだしにして向き合おうとしているわたしにたいして、"かわいいおんなのこが見せてくれた柔らかい中身"、"がんばってきたことを認めて欲しい子"、なんてどこかでみたようなテンプレートにどうにかはめこもうとされることがあるんですよね。

"理解してあげられる人間"って仮面をかぶって。

これはわたし、明確に、女だからだと思います。


実際それに辟易して、おしゃれとか放棄してた時期もあった。

おぼこい純な女の子、ってイメージにはまっちゃったみたいでその面に対しては悪循環だったんですが。

大森靖子さんはロックンロールなので、ロックな言い方をすればそう、ナメられるんです。

おんなのこはナメられる。


大森靖子さんの強さって、

可愛いだろ、そうやろ、そう見えるやろ、可愛いわたしのことをなによりわたしが好きだからだよ!って大声で言えるところ。

例えば全然わたしはわたしに似合わないと思う服を、好意のかたまりみたいな輝いた瞳で贈られたときに、絶望のかけらをひとつもみせずに相手の望むであろう笑顔を返す、みたいなことをしない強さ。


"わたしはいつだって極彩色で、

君は君が美しいと思う色をあたしから絞り出して"


"いままでの嘘ぜんぶばれてもあたしのこと好きでいてね"

"あたしの夢は君が蹴散らしたボロボロでブサイクのLIFEをかき集めて大きな鏡を作ること"

"君が作った美しい世界をみせてあげる"


あのねえ、可愛いんだよ、可愛いように作るのよ、素敵に生きていくためにね!

ドラッグクィーンならすんなりみんな受け止める、このメンタルを、どうしてもすんなり飲み込んでもらえない苦しいのを、大声で叫んでいるところ、強い、強い、泣きたいほど憧れる。

だってロックンロールだもんね。


でねえ、だからって、そうしたひとのことを括ってダメだもうお前無理!なんていうふうにも言わない、たぶんごめんねってほんとにわかってくれたら、いいよ!じゃあもう一緒にベッドいこうか!くらいのことも言ってくれそうで。

そういうしなやかな風呂敷みたいな広さもあって。


聞けて良かった。

昨日も今日も、読みたかって持ってきたはずの本も読まずに、長距離移動の中を、新しいわたしのスターと寄り添って過ごしている。

こんな感覚は久しぶりで、はは、ときめいています。

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