top of page

マイナスの世界

  • 執筆者の写真: すずめや
    すずめや
  • 1月22日
  • 読了時間: 1分

ここんとこたいへん寒い。日中も最高気温はマイナスのまま。

マイナスの世界が、冬はもっとも美しいと思う。


雪はふわふわでなめらかで、木々に積もった雪がすこしの風でため息を吐くように舞う。風の通りみちが雪の粉で色づけられて、それはとても有機的な起伏があって、頬を撫でる風、なんて言葉のふくよかさを知る。

日陰は青色にすべてが薄く染まって陰影を引き立てる。陽に照らされた雪は黄色くなって、だけど寒いから雪のまま、溶けてあの可愛い音を立てることはない。目を固く閉じたままの石膏人形のよう。

夜はあまり良くないわたしの目でも、オリオンの剣まではっきり見える。星はあまりに多くてひかりすぎていて一等星がどれなんだかわからないくらい。

虫も動物も木の葉ずれの音もなくてしんと沈むような静寂があって、たまに小鳥が飛ぶけれど、マイナスの世界ではなんだかそれは異質の石礫のように見えるから不思議。

家の中では暖かい場所で四匹の猫はだらしなく寝転んで、とびら一枚隔てた場所はこんなに寒いんだなんて思ってもいないんだろう。こんなに静かでこんなに美しくてこんなに冷たい。

鼓動やぬくもりと対極の、薄情な圧倒的な美しさ。





 
 
 

最新記事

すべて表示
公募ガイド買った

先日の日本橋丸善では本の話が合う作家のお姉さまがいて、あれ読んだこれ読んだと読書談義で盛り上がった。 猛暑もあり雨の日もありで悲しいほど売り場は静かで、いろいろ話してるうちにお姉さまが私の掌編集を買ってくだすって、あっという間に読んで、誉めそやしてくれた。それで充分嬉しかったのにお姉さまは作家業が身に染み付いているからだろう、ちゃんと本出してみたら、ということを繰り返し言ってくれておだてられ木に登

 
 
 
去り行く太陽

日本橋丸善の一週間が終わった。 なんども来ている場所だけれど今回は違った。 以前もブログで触れた、日本橋丸善一階の太陽たちが所属する会社のお仕舞いとともにもう丸善からいなくなるという。これは本当に大変なこと。 ふたりの太陽たち、ひとりはオレンジ色の太陽で、ミュージカルの大御所、クリスティンチェノウェスにそっくりな太陽、じゅんこ。もうひとりは夏の白浜のてっぺんで爽やかに笑う白い太陽そのもののような、

 
 
 
むいてるかも

名古屋三越と東京日本橋をハシゴして遠征、 ようやく終わりが見えてきた。 近ごろカプセルホテル九時間屋に心酔していることをくりかえし綴っていたが、わたしはカプセルホテルが好きなのか九時間屋が好きなのかという疑問を確かめるべく今回の東京ではカプセルホテル鐘鳴屋に宿泊してみている。 悪くない。 えっ悪くないねカプセルホテル。 我々行商の作家は遠征費は基本自腹である。 宿代を安く済ませようとするとまずいち

 
 
 

コメント


Copyright © 2018 suzumeya

bottom of page