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はちみつについて

  • 執筆者の写真: すずめや
    すずめや
  • 2019年4月14日
  • 読了時間: 1分

更新日:2023年10月11日

べたつくあの甘味

こどもを殺すほどの栄養価

きんいろのみつ


可憐な儚い花々を

有機的な曲線と針を持つ

あの昆虫が

襲っているような絵面で


集めているんだと

かの女らが秘密に溜めた蜜を

かの女らはみな

心から うんと うなづいたろうか

ぼくがそう思いたくないのだろうか


かの女らが まだ かおる


ただ花でなかった頃には

出会えなかったろう

さまざまな のみものや果実や木の実や


会えてよかったと感じてくれるのだろうか

動物の肉や野菜や香辛料に


そのあと

無遠慮な石と粘膜の化物が

かの女らの蜜と、それらを摂取しようと

襲ってくるとしても


それでも かの女らが まだ かおる


抱いていたころにふくませたのだ


「わたしのほんとのうつくしさ

ひみつにおしえてあげる」


秘密の蜜にいいふくめたのだ


そしてわたしはそれをふくむ

くりかえし、ふくむ

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