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  • 執筆者の写真すずめや

問いと解

てしごとでノートを作っています。


てしごとに限らずですが、人の作ったものというのは、もうほんとにそれぞれ千差万別な問いと解の結果だと考えています。


よく、ものの見方についてのとりとめのない話をするときに喩えで使うのですけども、大福。


昔ながらの和菓子屋さんで買うと、うちのはなにも入れてないから冷蔵庫にいれたら固くなっちゃうし日持ちもしないよ、ってご忠告を受けたりします。


コンビニやスーパーで買える大福は、いつまでもやわらかいし冷やしても大丈夫。


無添加かそうでないか、体にいいのか悪いのか、という観点から見れば、昔ながらの和菓子屋さんの大福を選ぶでしょう。

だけどわたし、大福がいつでもやわらかくありますように、冷たいのんも食べられますように、安価に気軽に食べられますように、と色々勉強されて作られたその軌跡のことを思うとそれだって正解だよなと思うです。


どういう問いを持って、どんな解を導き出すのか。


ひとがつくるものってだから面白いと思うし、白も黒もどちらかが間違いである、というのはそんなにないんでないかと考えています。

ただ日々、人に関わり合いながら社会生活を営む人間である以上、自分で決めた世界の平和なルール、みたいのがこれまた千差万別にあって、わたしはこれのこと悲しいと思うな、とか、美しいと思うな、とか、こんなんに囲まれたいんだ、でなんとなくふんわり誰かと引き合って、なんでかっていったらこういう理由でこれを選ぶんだよ、って話になるよな、と思う。


ノートはノートです。

でもそれって、単語の上ではそう、ってだけだなと。


手製本て、ものすごい仲間が少なかって、最近製本仲間たちと主にSNS上で出会えるようになってきて、おんなじノートなんて作れない、ってわかってはいたけども、それを目の当たりにできる嬉しさがとてもとてもあります。

万年筆が大好きで、そういうアプローチからノートをつくるひともいるし、製本てことだったら、孤独だけど世界と向き合う仕事だと思ってる、なんて話のできるかたとも会えたし、わたし自身もノートというものについての自分なりの哲学がちゃんと育っていって、本当に嬉しい。


ノートを作るけど、相手さまあってのものだ、というのが気に入ってノートを作ることを選びました。


ちょっといいノートなら、捨てづらいでしょう。自分を大事にするのって、難しいなと思っていても、いいのはすぐには捨てられない。

わたしが作って終わりじゃない、あなたの大切な日々を、時間差で綴じることができる、本にしていくことができるから、そうしてあなたを大切に思って作ることで、わたしもわたしを誇り、愛することができると考えたのです。

その答えにたどり着くの、たどり着いていても言語化できるのに、ほんとにながいことかかりましたしもやもやしたまま苦しかった。

でもいまは明確です。

だからバイトしながらでも借金もちながらでも、これで生きてく。


そう考えてつくるので、わたしは良い仕事(クオリティの面において)をすることが前提です。そこはゴリゴリ自分に厳しくありたい。



どなたさまも、物語のある日々を、それぞれ過ごされていると思います。

その一片は、忙しいときの殴り書きやさりげないメモ、落書きなんかのなかにでも、ひそんでいるのではないでしょうか。

捨てちゃいそうなそれぞれを、残して欲しくて、てしごとでノートを作っています。

その時、たとえつらいものと一緒でも、嬉しいことと一緒でも、いつか、それを見返すあなたはきっと同じように微笑んでいるんじゃないかしら。


すずめやは、これから物語の始まる本を扱う、本屋さんでもあります。


書き損じも、日々の暮らしの中にはあると思います。

それもまとめて大事にしたいと思っています。


なにを書いてもかまいません。

途中でやめたってかまいません。

もったいないなんて言わないで、

いつかまたノートを開くとき、

ふっと微笑むあなたとの時間を作りたいです。

そんなふうにあなたの日々や一片を、大事にしたいと思っています。


まっしろな無地のノートです。

じょうぶなかたい表紙のも、

やらかいやつもこさえています。

あなたのもとで、ノートはあなたのノートとして生まれ直します。

どうぞおそばにおいてください。


"ちいさくて、いつもそばにいて、さえずっている"

そんなすずめのようなものづくりで、生きていきたいと思っています。



ひとさまから糧をいただいて生きて行くことについて、絶えずちゃんと向き合って考えたいです。

強烈な自己否定を持っていた時期に、振り返れば世界じゅうに救ってもらったと思うから、なにもかもを、ただ在るものとしてフラットに捉えていきたい。

わるいはない、できれば、そんなふうに世界を見たいな


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