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彼岸花

  • 執筆者の写真: すずめや
    すずめや
  • 2020年9月21日
  • 読了時間: 2分

お彼岸なので話のわかる友人と彼岸花をみにいってきました。

彼岸花、幽霊花、いろいろ名前のあるひとですが、曼珠沙華と呼ぶのが好きです。

花の中では最も好きなもののひとつ。


茎に毒があるとかで、小さなころはそんなの好きなんておかしい〜とか言われて悲しかった覚えがあります。

毒があるからって、美しいと思う気持ちは、わたしは欠けないよって、いまならきちんと言えるのになあ。


魅了する力のあるものには色気とか色香がある、という感覚がずっとあります。

たとえばきときとのお刺身とか、

よく磨き上げられた刃物だとか、

薄暗がりのなかでひかる漆の光沢、

この花の、花弁のしなやかな反り。

となにも考えずに羅列してみましたが、

艶めき、も共通してますね。

きらめきというよりも艶。


今日は宮沢賢治の命日でもありましたので、天ぷらそばを食べました。

天ぷらそばと三ツ矢サイダーというのが賢治のお気に入りで、愛好家のあいだでは賢治セットなんて呼ばれているそうです。

残念ながらお蕎麦屋さんにはサイダーはなかった。

おうちでできたらよかったなあ。


賢治は、そんなに、魅了、という感覚ではわたしはなくて。

艶よりきらめきっていうかんじ。

お刺身、よりも上手に炊けたごはん、てかんじ。

釉薬のかかった陶器ではなくて、素焼きの陶器。

カットされ、磨かれた石ではなくて、河原に転がっている石。

だから彼のことが好きなんだって気づくのが遅かった。

今日は彼岸花を見にいく途中の大きな川の上、線路にちょうど列車が走って銀河鉄道みたいにみえました。


魅了するものと、体内にしみるもの。

素敵なご馳走と、日々のおまかない。

どっちもあって、贅沢だった。

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