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夜中の甘えん坊

  • 執筆者の写真: すずめや
    すずめや
  • 2月3日
  • 読了時間: 2分

次男猫のミリ(愛称みんみ)は昼間はごくマイペースに過ごしている。

仔猫のヤリ(愛称ヤン子)や俺様甘えん坊のメリ(愛称めーめ)はだいたいふたりでいるか、人間のそばにいようとする。

引きこもり猫のモリ(愛称モンティーヌ)は自分の部屋でもっちりしている。

みんみはそれぞれのそばにいたり自分1人でいい場所を見つけていたりして、昼間はほとんど自分からかまってほしがらない。

抱きしめようとすると逃げるくらいだ。


だが、夜中の2時、3時、それくらいになると丸いあたまをごつん、ごつんと寝ている人間の顔にぶつけてくる。

その時点でもう喉はゴロゴロ鳴らしている。

撫でてやると擦り寄って、ここを撫でてと言わんばかりに体勢をくねらせ、布団をあけてやるとそこへ入り込んでまだ撫でてと喉を鳴らす。

ふわふわとしたお腹を揉まれるのが好きだ。

そのお腹には茶色のポケットがついている。


いぬのぬげたはがっしりしていて毛も太く、めーめは筋と骨とがはっきりしていてさらさらで、ヤン子はまだ成長途上、モンティーヌはびろうどの袋に小麦粉を詰めたようなもっちり感。

みんみはうちでいちばん柔らかで軽い。


布団の中で暖まってくると毛皮が一段とふわふわしてくる。

ゴロゴロと喉を鳴らす。

起こされたついでに水を飲みにいったりして、布団に戻ってきたらまだゴロゴロいっている。

途中で眠ってゴロゴロが止む。

じゃあわたしも二度寝をするかなとちょっと体勢を変えたりするとふと起きてまたゴロゴロと小さく始めて、でも、すぐまた眠るのでゴロゴロが止む。


ほかの家族がみんな深く寝ついているこの時間にこんなにも甘えてくる彼は、もしかしたら昼間はお兄さんぶってすかしているのかもしれない。

あまりにけなげで愛らしく、毎日夜の深くなるのを楽しみに眠る。


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