土いじり開始
- すずめや
- 4月24日
- 読了時間: 3分
春だ春だ。
土をほじくり返すのだ。
うちには裏にも表にも畑がついている。
表の畑は今回、秋に蒔いたほうれん草と菜の花がなぜか越冬しにょきにょき伸び始めたため、耕すのは少し後にしようとなった。
それに表の畑は広くて、いつも集落の紳士にトラクターを出動してもらうため、春先の畑の始まるこの忙しい時期にお願いするのも悪いだろうと思う。
というわけで人力で裏の畑をほじくりかえす。
基本的にはハーブ類やベリー系、アスパラやタラなど、何年も繰り返すようなものを主に植え付けている。
ハーブはフェンネルやパセリが去年の株から新しく芽吹いている。
ブルーベリーは雪囲いをしなかったため折れてしまったもののそれでも芽を吹き始めた。
アスパラガスはまだ2年目、収穫ができるようになるのは来年らしい。
早めに植えたほうがいいもの用のスペースをとってある。
そこをほじくり返し(夫が)、畝を作り(夫が)、肥料で土を整えて(夫が)、植え付けである。
わたしはもっぱら近くで草をむしったり植え付けの楽しいところだけやっている。
草むしりが好きだ。
今回はグリーンピースとそら豆とたまねぎといろんな青ネギを植えた。
東北ではたぶん、春の豆類はビニールハウスで栽培されるんではないだろうか。
なかなか遅くまで霜が降りるので、去年はスナップエンドウをやったけれど初期に霜にやられたためか思ったほど元気にはならなかった。
スナップエンドウは大好きなのでまた今年もできればやりたい。
時期が遅くなろうとも。
そら豆は自分も大好きだし敬愛する友人の好物でもあることを知っているので送りつけたいと考えている。
今回はじめて苗を見つけて鼻息荒くカゴに入れた。
夫は京都にいた頃の前職が農業だった。
毎日九条ネギを洗っていたらしく、冬場は手のひらがネギ色に染まりネギ跡にひび割れていた。
そうなったらふつうネギのことなんて嫌いになりそうなものだけれど、通りすがった畑などで揺れているネギを見るたびにネギについての知識を披露してくるため、ネギのことが好きなんだろうと思う。
今回はなんと九条ネギの苗を見つけた。
九条ネギだけでなく、浅葱九条ネギに下仁田ネギになんかもう一種類白ネギがあってそれをいちどきに植えてしまった。
ネギ富豪となる未来が見える。
集落のみなさんが畑で採れた野菜をお裾分けしてくださるたびにうちもそれをやりたいなあと思っていた。
出張みやげのお菓子ではなんだかお返しの種類が違う気がしてやきもきしていた。
今年はネギを皆さんにお渡しすることになるかもしれない。
伸び伸び育ったネギをくせえくせえと言いながら、ひとんちのピンポンを押す日がくるだろうか。
春だ春だ。
街にいたころの春は霞がかって、人のさざめきに胸が苦しくなる季節だった。
救いを求めるように桜を見上げた。
こちらでは春は春以外のなにものでもない。
新しき芽吹きの季節である。
畑に植えたものが育つあいだはそのへんに生えている草も食べられる。
足元から小さな花々が咲き、あれも咲いたこれも咲いたと追いかけるうちにやがて見上げる桜の満開。
願わくば桜を見にゆきたい。
ただ桜を見にゆくのだ。
雫石には見事な桜の行進がある。
実際は動かないんだから行列と言ったほうが正しいのかもしれないが、行進、と言いたくなるような立派な面構えで、彼らは春と咲き誇るのだ。

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