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ゆめのそらまめ

  • 執筆者の写真: すずめや
    すずめや
  • 6月27日
  • 読了時間: 3分

更新日:6月28日

青豆のことはなんでも好きだ。

そしてついに青豆の王妃、そらまめをうちの畑で収穫することができた。

そらまめはぶあつい上等の布団で守られて寝ているし服も着ているので王妃。

王さまは裸なんだから。


そらまめはなんと上に向かってさやを伸ばす。

えだまめやエンドウみたいにぶら下がってない。

常に上を向くその姿勢たるや王妃の名にふさわしからんや。

よくふくらんだのを選り分けてとる。

うまくできていたら青豆の好きな彼女に贈ろうと苗を手に入れたときからわくわくしていた。

とにかく初収穫。


だがしかしなかなかそらまめを育てるのはむつかしいようだ。

さやばかり膨らんで、ぱっとみたところみっつは入っているだろうと思ったさやのなかでまともに育っていたのはひとつぶだけ、なんてのがごろごろしていた。

それに布団を剥いだところのみどり色のお洋服、あれについてる黒いアクセサリーもまだみどり色のままだった。

よく育ったと思っていたけど早かったのか、

はたまた植えた時期か気候に難があったのか。

苗で買ったのだから時期はおかしくないはずだけど。

(その季節にその地域で育たない苗は当然のことながら店頭では販売されていない。なのでネット通販を利用するときと種から自分で苗を作るときはよく気をつけて下調べをしなきゃならない)

これはちょっと贈るにはさみしいだろう。


では一緒に育てはじめたスナップエンドウはどうか。

こちらもよく太っている。

これは夫がお昼にパスタにしてくれた。

そしたら驚くほどさやが硬い。

しかし豆部分はやわらかくて甘みがあっておいしい。

スナップエンドウと思って育てていたがおそらくこれはグリーンピースだ。

夫はグリーンピースのことが嫌いだという。

繰り返すがわたしは青豆のことはなんでも好きだ。


初収穫のそらまめは裸にむいて春巻きの皮で包んで揚げてもらった。

春巻きの中身はそらまめだけ、生のを包んで揚げ蒸し状態になってほくほくの豆とぱりぱりの皮、それを塩で食べる。

そらまめの最もうまい食べ方のひとつだと思っている。

京都にいたころ、夫にこの春巻きを出したことがある。

そのときはこんなうまい春巻きは初めて食べたと言ってくれたものだが、夫にわたしがこれを作ったことがあったよねと言ったら覚えていないようだった。


レシピ本を出張のおみやげに買い始めたことで料理に目覚めてくれた夫は、いまやなんちゃらいう三つ星レストランのシェフのYouTubeやらこだわりのレシピやらをみて試行錯誤しほんとうに立派なシェフになった。

わたしも料理は大好きだったけれどもうかなわないだろうなと思う。

おかげでずーっと製作ばっかりしていられる。


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