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おおわらわ

  • 執筆者の写真: すずめや
    すずめや
  • 2024年11月28日
  • 読了時間: 2分

ようやく空港に着いた。

明日から京都での出展である。


なんでか2、3日前からいまやらんでもいいだろうというブラッシュアップを思いついたり過剰な備えとしての作業をやりはじめたりして今回はたいへん慌しかった。

結局過剰な備えはやりきることができなかった。


朝は別室暮らしのモンティーヌの寂しがり鳴きで起き、もそもそとモンティーヌの部屋の毛布にくるまり二度寝、これで寂しくないよ、とうつらうつらしはじめたところみんみのエサクレゴロゴロがスタートした。

みんみはごはんをねだるときすりすりのゴロゴロで顔面めがけて甘えてくる。

こちらは朝は寝っ転がっているので顔面ぜんぶでその甘えを受け取ることになる。

根負けしてみんなのごはんを準備し、アトリエと台所の薪ストーブを焚き、作業を少し、珈琲で一服したのちぬげたを散歩に出し、作業を少し、室内へ薪を運び入れ、しとしとの雨の中少なくなった薪棚の補充。

今日から出張なのだから夫が薪入れに苦労せずすむよう台所すぐの薪棚をぱんぱんにしておく。


作業作業作業のあいまにスーツケースの準備、持ち物にぬかりはないか、だいたいぬかっているので作業中にあれもいれなきゃこれもいれるんだった、とばたばたすることになる。

メールや連絡のたぐいはもうぜんぶ空港についてからでいいやとぶん投げてアトリエでしかできない作業をせっせとする。

近ごろヤン子がしおりひもや綴じ糸を噛みちぎるためその予防もせねばならぬ。

なんとか最低限が終わったが理想の出来にはならなかったりして残念な終わりであった。


まあでも夫の作ってくれたひるごはんを食べられた。

空港まで車で一時間、なんだか久しぶりに遠くに行く気がする。

朝、山あいのうちでしっとり雨に濡れながら薪を運んでいたのに夜には京都の伏見で作家仲間と打ち合わせをするのだ。

1000キロという距離がずいぶん近い。


山々の木々はほとんどはだかに近い。

丸出しの枝はダンサーの手足のようにすべらかに伸び、力強い。

遠くの山の表面は、まるで綿毛が覆ったようになっていた。

綿毛の正体は無数の四肢。

世界は唖然とするほど広い。


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