top of page

春の小川

  • 執筆者の写真: すずめや
    すずめや
  • 2019年4月14日
  • 読了時間: 1分

さようならを願って

泣くように散る

あの花の一片を

のせて はしる

すきとおった水


まだおよぎだす前のいのちが

まくにつつまれて丸くなって

うすいみどりのゆびさきに

じっとしているのをなでている

すきとおった水


ぬくもってゆく世界の温度を

まだもう少しと冷ましながら

小石のかどをまるめている

すきとおった水


はしゃいだ魚のはねるのに

まるであわせてうたうように

はらとおなじの銀色の

しぶきをあげる

すきとおった水


とけた冬をのみこんだ山が吐きだす

すきとおった水

ree

 
 
 

最新記事

すべて表示
蕎麦屋のあかり

鴨南蛮のあぶらはつゆの上でみんなで手を取り合ってひとつのまんまるのあぶらになると、まんまるのままどんぶりから浮かんでゆき、蕎麦屋の天井であかりになるのだ。 鴨南蛮のあぶらたちはみんなそれを知っていて、真っ暗な胃の中に流し込まれるよりも、いつか天井で店じゅうを照らしながら蕎麦屋のお客を眺めていたいと思っているのだ。 次にやってくる新しい鴨南蛮を、仲間になるあかりを、今か今かとわくわくしながら待ち続け

 
 
 

コメント


Copyright © 2018 suzumeya

bottom of page