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個展終了

  • 執筆者の写真: すずめや
    すずめや
  • 2025年9月6日
  • 読了時間: 3分

はじめての岩手での個展が終わった。

盛岡紅葉ヶ丘の住宅街にあるちいさなお店、

キッチンアンドアトリエ手から手へさんでの個展。

催事はやたらといっているけど個展というのは初めてのことだと思う。

憧れだった岩手に暮らして、いままでなかった穏やかで健やかな日々の暮らしを手に入れ、個展までできてしまった。


工芸でも民藝でもアートでもない、

手製本というジャンルもクラフトのなかではあまりにニッチで、わたし自身も生き方も行き方もやりかたもわからず、ギャラリーってなんでしょうか、といまだにそんなかんじ。

そりゃ作家仲間は個展に催事にとやってるけどそれってタコが気球に憧れるみたいなものだと思ってどこか他人事だった。

タコが気球みたいに頭を膨らませて空を飛べたらそりゃ面白く素敵なことだけれど現実にはタコはタコだもの。


そんなふうに思っていたのに今回は縁に縁がつながって、不思議なくらいとんとんといった。

ご好評いただいて一週間の延長までした。

その延長期間中に、お話を聞きたいという方がおられるのでお話会をしましょうという話が出た。

お話会とはなんだ。

わたしを囲んで話すことがなぜ楽しいのだ。

なんだかわからないけどわからないのでやってみようと思った。

縁に縁が繋がった開催だったので、これも何かにつながるでっかい意思によるものかもしれない。


いざ向かい、各々飲み物を頼んで座談会形式に会はスタートした。

なぜ手製本を選んだのか、日々の暮らしは、雫石に住みはじめたのはなぜか、作品に対する想いは、等々、滔々。

ずっとおしゃべりをしていた。わたしのことについて。

わたし自身がお誕生日ケーキになったような、絶え間なくちやほやされる甘い時間だった。

盛岡ジュンク堂で財布を落としたお兄さん、移住する前にオンラインで相談に乗ってもらっていた当時の移住コーディネーターさんにまで会えて、本当に訳がわからない良い時間しかなかった。


褒められることや存在を嬉しがられることがよくわからない。

自己肯定感の低さや人格の歪みもあるんだろうが、とつぜん花束を差し出されても笑顔で素直にありがとうと返すのは難しい。

どうしてもこんな者にそんないいものを、すみません、などと言ってしまうのだ。

だがその卑屈さはいつも光によって薄められ、この会もそんな光に満ちた会であった。

帰ってからもなんだったんだろうかあの時間は、と起き抜けに見ていた夢を思い出そうとするような気持ちだった。


搬出の帰り道、お店のちかくのスーパーに寄って日が暮れた。

すると帰り道、急に大輪の花火が打ち上がった。

一週間の延長のことを、打ち上げ花火のように、なんて形容して、いままで置いてなかった種類のノートをたくさん持ち込んで最後を彩ったつもりだったんだけど、実際に本当に花火が上がった。

最近盛岡で若い人がはじめたイベントなんだという。

その花火に搬出の帰り道にちょうど出会った。

打ち上げ花火は現実となり、ふと見ると晴れた夜に丸い月が煌々と照り、うちのちかくではフクロウに会った。

いろんな動物に出会う我が家だがフクロウには初めて会った。

初個展の最終日に縁起ものの鳥に出会えたすずめやだ。

なんだかできすぎじゃないのか。


岩手に来てよかったんだな。

ここで暮らしていっていいんだな。

ここでやれてほんとうによかったな。

なんだかそればっかり思う、ありがたい機会だった。



 
 
 

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