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  • 執筆者の写真すずめや

感謝祭

三日間限定でオンラインショップで2割引のクーポンを出した。春の感謝祭。

自分からこうやって大々的に値引きをするのは初めてのことだと思う。

作品の値段を下げること、どうかな、と迷ったまんま、でもやった。

安売りすることで結果的に痛い目を見たことは何度もあったし、ふだん買っていただいている方々はどう思うだろう、気を悪くする方もおられるかもしれない。

値段つけって本当に本当に難しくて、いろんな作家さんや諸先輩がたからも話を聞くけど千差万別、みーんな苦しんでることだけを知ってる。

結局やってみなきゃわからん!というのも知ってる。

でも、考えなしにやってみるのは豆腐で卓球をするようなもんでへしゃげてそこらじゅう汚しておしまいになっちゃう。

悩んで悩んで悩みながらやってみる、方程式を組んでいく、解を得られるのはやってみてから、イコール。

筋道が正しければ、どれだけ長い方程式になったとしても、イコール、よかったになる。

ただしあまりがでるようなこともある。


感謝祭は24日までということにしていて、これを書いている現在は24日の夜なので、いちおうまだ終わってはないのだけど、でも今回はやってみてよかった。

注文時に備考欄というのがあって、けっこうそこがお客さまとのコミュニケーションスペースになっていたりして、思っていることとかを書いてもらえることがある。

とても好意的にとらえてくださっていたし、だいたいのご注文がリピーターさんからだった。

もちろんこの機会にの初めての方もおられた。

迷っていたものをこの機会に買えた、というお声もあって、備考欄に何も書いてない、ふだんから無言でリピートしてくださっている方のご注文の内容をみても、喜んでいただけてるみたいだって感じることができた。


今回の感謝祭は、ふだんからこちらを見てくださってる方に伝わるようなやり方をとったつもり。

大勢の見知らぬ人に見られる可能性のある(拡散力のある)Twitterでの自分からの大々的な発信は避け、はじめの二日間はいつもオンラインショップを見てくださってる方にだけ伝わるような告知にした。

ぎりぎりまで迷っていたので予告もできなかった。

最終日に、24時間で消えるInstagramのストーリーズにだけ告知をアップした。


冬籠りのあいだ、作品の販売はほとんどオンラインショップで、つまり冬の間の生活はオンラインショップのお客さまにずっと支えていただいていたということだ。

もう何日かすれば春の気候になりそうだ、なんて天気予報を見ていて、ああ、わたしたち家族はこの家の中でなんとか冬を越せたのだ、と思うと、腹の底から熱いかたまりがせりあがり、ありがとうをせにゃいけんと考えた。

それにはいくつも方法があるけれども、おまけのラムネを増やすとか、お礼状を改めて書くだとか、ノベルティをつけるだとか、方法はあるけれど、でもすずめやをみてくれてるお客さまはきっとわたしの嬉しいことを喜んでくれるんじゃないかなと思った。


不安定な仕事だし儲かるわけじゃない、だからお金が足りなくて、欲しい作品を買えなかったことは数え切れないくらいある。

出展先でいちいち作家仲間に会うんだからそりゃあ見た数も数え切れないし、長い付き合いの人なんかは、その人の人生と、それに沿って経過した時間で作品が変わってゆくのもわかる。

宝くじを買って大金を夢見て湧き出る物欲は、あの人のあれと、あの人のあれと、ってまずは作家ものに向かう。

欲しい作品を買えないつらさはふつうのお買い物よりもよけいに沁みる。

その人のいまはそこにしかない。

工業製品だって厳密にはひとつひとつ違うものだ、この世には同じものはひとつもない。

でも目が合って、心臓が跳ねて、吸い寄せられて、これはわたしのものだって感じる。

わたしは作家ものを見るとそういう出会いがある。

そのときにお金が足りない、ものの値段が高いんじゃなくてわたしの財布に余力がない。

あれはつらいものだ。

だから作家として作品の価格に対する矜持がどうか、とかいうのはまだもやもや悩みの尾をひいてはいるけども、自分がありがたいことでありがとうをするのがいいような気がした。

いろいろ考えたけど、そうすることにした。


とにかく荷物の送り間違えがありませんようにとひたすら祈りつつ梱包をしている。

確認確認をしているけどひとりぼっちだしわたしはやらかす。

よくやらかすから確認確認。

どうか間違えてませんように。

そうだ、このブログを見てくださってる皆様にも、いつもお付き合いくださって、ありがとうございます。



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