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  • 執筆者の写真すずめや

種まき

結局感謝祭ではやらかしがあった。

やらかしに対応し、なんとかおさまり、これにて終幕のメールを見たときには親指を立てて溶鉱炉に沈む機械人間のごとき心持ちであった。

そんなんでそわそわしつつ、一息ついたと思ったらもう明日には春一番の行商にいかなければならない。

いやなこった。

でもいやなこったと思うのと同時に早く行きたいしお客さまに会いたいなと思う。

丸の内から我が家まですぐに帰ることができれば両立するのに四次元ポケットがないばかりに我慢をしなければならぬ。


クロッカスが咲き福寿草も咲き、岩手にも春がうららとやってきた。

今年は野菜の種を蒔いている。

まだ雪があったりして畑は耕せないのでポットに土を詰めて種を蒔いている。

農業の経験がある夫はそんなことするより苗を買うのが早いし栽培の成功率も高いと言うが、わたしは種から野菜を育てて食べた、というのをやりたいのでちまちまスーパーなどにいったときに種の袋をカゴに滑り込ませている。

子どもの頃にはやったかもわからないけど記憶にない、ないからいっぺんやってみようだ。


今日はキャベツとスティックブロッコリーの種を蒔いた。

犬のぬげたがキャベツを食べるので、畑にキャベツがあったらぬげたは喜んでみずみずしい新鮮なキャベツを土の上でまるかじりにして喜ぶかもしれないと妄想した。

そのときにはきちんと胸を張ってこれはわたしがぬげたのために種を蒔いたキャベツだと感謝を乞いたい。


キャベツの種はゴマよりも小さいつぶつぶであった。

こんなに小さいことがあるだろうかと本当にたまげた。

こんな小さなつぶつぶを種屋さんは選定し袋に詰め、そして農家さんや苗屋さんはこんな小さなつぶつぶを注意深く土に埋めて育てているのだ。

家庭の畑レベルならいざしらず、仕事にしようと思ったら規模もでっかく、なにげなく畑の畝一面に成っている野菜たち、スーパーに積まれた野菜たち、なんと果てしない作業の上に恵まれたものなのかと眩暈がする。


出張前なので定番のアトリエ清掃をした。

ちょっとおまけして廊下や玄関も清掃をした。

水拭きまでやると空気がすっとして、ほんとうに清掃、というかんじがして大変気持ちいい。

しかしいちどきに家じゅうを清掃するのは無理なことである。

なにせこの家はでかいので根性が続かない。

行商にいっているうちに夫がのこりをさっぱり清掃をしてくれるのを期待する。


久しぶりに行商前の慌ただしい時間を乗り越えて、むやみに一息ついている。

かといって頭の中で一息をついているだけで結局手が動いていたりして、いつまでたっても休むのがへたくそでつまらない。

夫は時間があれば山に登って転げ落ちたり庭や畑をいじったりぬげたを連れて歩き回ったりおやつにビスケットを一袋食べてしまったりずいぶん呑気に休んでいる感じがして羨ましい。

わたしはいつもせかせかと仕事をしてしまう。

夫は昨年に引き続きタラの芽に執着をみせており気づくと裏の庭に新しいタラの木が植えられている。

自分では気づいていないだろうが毎日タラの芽のことを話題に出している。


猫たちは気温が上がってきたので西陽の窓辺で日向ぼっこをするようになりたいへん可愛い。

雪のあるうちはいくら陽がさしても窓辺はつめたいが春のうららのおかげでぽかぽかしている。

木箱にクッションをつめたのを置いてみたら目論見通り2人で箱に収まって昼寝をしていた。

こんなベッドはいくつあってもいいだろうな。


さて斯様な平和なのんびりとした日常から超特急の電車に乗って大都会東京丸の内。

目が回って倒れるかもしれない。

東京ではすでに桜が満開なのだそうだ。

都会の春とこちらの春では趣きが違うのだし都会の春にやられないよう気をつけたい。



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