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  • 執筆者の写真すずめや

3月11日

大学を休学して製本を始めたころ。

アルバイト先のバックヤードで、いつも朗らかな店長が見たことないような硬い空気でパソコンのニュース動画を見ていた。


ざわ、となって、え、なに?地震、なんか大きいの、東北で。え?やばい。


今もですけど、テレビを持たないで暮らしていたので、その夕方アルバイトを終えてすぐに近所の中華料理店に行きました。

そこにはでっかいテレビがあって、なんかとんでもないことが起きたんだ、という逆立つようなきもちをもって、ビールを頼んで、ぐ、と飲みながら映像を見た。

今よりずっと阿呆で、こどもだった。

とにかくすごく混乱した。


SNSで情報拾いながら、刻一刻と状況が悪くなっていくのを画面越しに見ていた。

あのときはなにもできなかった。


製本では全くと言っていいほど収入に繋げられておらず、生活費を稼ぐアルバイトで時間もなく、貯金もなく、ないないづくしの時期でした。

では手作り市での売り上げを募金しよう、っていって、そうしたけれど、それも本当に洒落でなく、雀の涙ほどの金額で、なにもできないんだと思った。


ここまで一生懸命やってきて、

どうにか身を立てられるようになって、

あのときよりもおとなになって、

もう数ヶ月もすれば岩手にいる。

あのときなにもできなかったことを強く覚えている。

ばつの悪い気持ち、でもしょうがなかったじゃんって言い訳の気持ち、どうあがいても浅い浅い3月11日へのこのあたま。

ちゃんと向き合って、もっとダイレクトに知って、考えたい。

いつも直接会わないと、わたしはわからないから。


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