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  • 執筆者の写真すずめや

土に触れる

さていまから大阪へ出張。

飛行機に乗る。


今日は朝のうちにばたばた走り回って仕事を片付けて、一時間ほど出発前に土をほじくり返していた。

先っぽがみっつに割れているステンレス製の鍬を使って、土を掘る。

裏庭にラズベリーとブラックベリー、クロスグリと赤スグリ、ブルーベリーを3本植えて、そのまわりにどくだみが芽を出し始めた。

もうそれはそれはたくさん芽を出している。

このままではブルーベリーに悪さをするに違いない。

どくだみなんて名前からして明らかになにかをたくらんでいるに決まっているのだ。

鍬を5回も降れば、バケツいっぱいの根っこが取れる。

どくだみは地下茎でもりもり繁殖する。

ちぎれた茎からでも再生して、かえって増えるというので恐ろしい。

そういうのはエイリアンとかのやることだよ。


花の咲いたのを刈って天日に干すとおいしいお茶になると教えていただいたけど、ベリーと花壇まわりのどくだみは許すわけにはいかない。

かたい土を掘り返して、ぐずぐずに崩して、根っこを取り出して、バケツに入れて、ひたすら掘る、耕す。

そばの窓から猫のミリがこちらを眺めている。


土は崩すとやわらかくなる。

耕すというのはたいへんな労働だと思う。

ひとことで済むことだけど、やっているのは単純なことなんだけど、ほじくりかえしていらないものを取り除いて、土を移動して埋め直して。

紙を折るのに似ている。

ひとつひとつは小さなささやかな動き、

それをずーっと繰り返して紙が束になって本になる。

ずーっと繰り返して畑になる。


土まみれになっていたら夫がやってきて出発の30分前だと言った。

また時間を勘違いしていた。

予定ではもう1時間、出発前の余裕があって、夫に作ってもらうごはんを食べて、最後の荷造りをして、靴を磨いて出発するはずだった。

わーとばたばた用意して出発。

空港にゆく途中の山道の野原で、きつねが一匹太陽を浴びて座ってうつらうつらしているのを見た。

土を触って、山を通って、こんなとこにいるのにいまから鉄の塊に乗って空を飛んで大都会へ行くのだ。

都会には山も土もなくて、かわりに建物と人々が群れている。

どっちにも人が住んでいるのがへんなかんじだ。

どうみたってちがう生き物のなわばりだ。

こっちにきてへんだへんだって、ずっと思っている気がする。



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