top of page

空を掃除

  • 執筆者の写真: すずめや
    すずめや
  • 2019年2月22日
  • 読了時間: 1分

更新日:2023年10月11日

雲をかかえて食事に行こう

きっと青菜を喰むだろう


あの貧弱な木々の立つ

林を抜けたその先の

さみしい地平に立っている

石造りのあの店へ


薄鼠色のリネンのクロスに

今にも割れそうな皿のそば

真鍮の頼りないカトラリーを

おどおど使う雲のむかいで


古く、磨き上げられた小さな椅子を

わたしの雲のために引いてやる

小さなお尻がそこに乗るのを

椅子にかけたままのわたしの掌が感じるだろう


酢ばかりきいて、味気ない

あの店のサラダを雲が喰む


帰りは森を通りましょう

じゅくじゅく熟れた野の実など

わたしの雲に食わせてやろう


そしたら雲は染まるだろう

白にすこしの赤を混ぜたら


わたしはそしたら食べてやろう

桃色に染まったわたしの雲を

きっと彼女もうれしいだろう

どこにいっても所在がない

浮かんでいるだけのおまえがわたしの

肉となって地面に立つのだ

ree

 
 
 

最新記事

すべて表示
蕎麦屋のあかり

鴨南蛮のあぶらはつゆの上でみんなで手を取り合ってひとつのまんまるのあぶらになると、まんまるのままどんぶりから浮かんでゆき、蕎麦屋の天井であかりになるのだ。 鴨南蛮のあぶらたちはみんなそれを知っていて、真っ暗な胃の中に流し込まれるよりも、いつか天井で店じゅうを照らしながら蕎麦屋のお客を眺めていたいと思っているのだ。 次にやってくる新しい鴨南蛮を、仲間になるあかりを、今か今かとわくわくしながら待ち続け

 
 
 

コメント


Copyright © 2018 suzumeya

bottom of page