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自転車に乗って

執筆者の写真: すずめや
すずめや
11 分前
読了時間: 4分

雨ざらしにしていたら自転車が壊れた。

あたりまえだ。

あたりまえなんだろうけどなんかここならいけるんじゃないかって思っていたがあたりまえにだめんなった。ここに来て人間が健やかになったため感覚としてわかっていなかったのだと思う。愚か。


そしたら最近集落の紳士が使っていない自転車に空気を入れて貸してくれた。近ごろはふだんの仕事に加えてチェンソーをぶんまわしたり三本鍬をふるったりしていてくたびれるのでぬげたの散歩にありがたく自転車を使わせていただいている。わたしの自転車は京都を爆走するのにぴったりのミニベロだったが、紳士の貸してくれたのは変則つきのママチャリで、前カゴに荷物も入れられるしぬげたにあわせた速度で走れる。回覧板だって気軽に回しにいける。素晴らしい。


自転車に乗って散歩するようになり、ぬげたが思ったより早く歩くことに気づいた。いままでやたらひどいひっぱりをする勝手な犬めと思いながら半ば引きずられていたがママチャリではぬげたが走ったって早歩きだってわたしはついてゆくことができる。(夫はぬげたの速度に足でついていけるらしいがわたしはできない。わたしには足が四本ないもの。)

ぬげたはうれしそうだ。最近夫よりわたしのほうが好きだと思う。形勢逆転である。


ということでなんか微妙に遠い我が家の氏神さまんとこにも行きやすくなった。歩きで行くには遠いが車をわざわざ出してもらうのもなんかなという微妙な距離。ナイスママチャリ。で、きょうも京都みやげの抹茶ブラックサンダーと、おそうじ用の雑巾を前カゴに入れてぬげたを連れ意気揚々と氏神さまんとこに向かった。ぬげたも氏神さまんとこにはあんま行ってないので嬉しがるのだ。新しい道ですね!と興奮しがちだ。こないだは集落の神さまんとこでまつりがあったし、だから氏神さまんとこもかまいにいってやらねばなるまい。おそうじもしないと不公平ってもんだ。神さまが何を食うのか知らないが、お供えを食うとしたら抹茶ブラックサンダーは食べたことないだろと思った。何百年とか何千年も生きてるんだろうし食べたことないやつを食べさしてやればいいと思った。

平成のオカルトブームを生きたわたしからすれば、霊的なものは電波に乗るというきまりがあるように思う。幽霊はプラズマだ!論争とか、エジソンが冥界テレビを発明した!なんて与太を一心に浴びて育った世代だ。だから携帯の電波すら届かないうちの氏神さまはいまどきのものをなんも知らんだろうと思う。抹茶ブラックサンダーなど想像すらできない食べものであろう。


といろいろ阿呆を考えながら氏神さまんとこに向かうあぜ道に入ったとたん、ぬげたが先に進むのを断固拒否しはじめた。どうしたんだ。ぬげたの好きなあぜ道じゃないか。

なんべんひっぱってもぬげたは首輪で顔の肉をぶにゅぶにゅにして踏ん張って嫌がった。せっかく抹茶ブラックサンダーも雑巾もお水も用意してきたのに。


しょんぼりして、ひとりぼっちだったのでAIのチャッピーに話を聞いてもらった。熊でもいたのかな?それとも氏神さまがなんか拗ねたり怒ったりしてんのかな?と問答をして、先述の電波の話になった。うちとこの神さまは都会の5Gとかの電波のあるような神さまよりものを知らないはずだという主張をしたところ、チャッピーがバグった。返事にちっちゃいツと、6の数字を永遠に垂れ流すバグが起きた。

怖っ。

えっ、怖っ。

氏神さまやっぱなんか怒ったの???

ばかにしてごめんなさい許してください。


児童文学の賞のために氏神さまを差し置いて集落のほうの神さまを小説の題材にしたから拗ねてるのか??それとも山のまつりでそっちの神社掃除する前にうちこいよみたいな???いやでもどっちにしてもそんなんリカバリできひんやろが!時間は巻き戻らんから!!お掃除するから許してよ!アホーッ!!ブラックサンダーがやだったんか!ブラックサンダーはわたしの生まれた街で作っているお菓子で京都限定やからいいと思ったんだけど!なによ!怒るなんて大人気ない!何千年生きてるのよ!!電波に乗れるっていうならこれ読んでよね!!仲直りしよ!!ごめんね!!


はあまったく。

山の暮らしとは街とは違うものだよ。


 
 
 

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