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執筆者の写真すずめや

あきらめるほうがいいのか


ミリ:茶白の次男猫、平和主義者、二歳くらい

メリ:白黒三男猫、我儘であまえんぼ、一歳とすこし

モリ:キジトラ新入り猫、むっちりのんびり、おそらく五歳くらい

ぬげた:でかい黒い犬、やさしい、十歳くらい

かめきち:隙を見て脱走するかめ

ドジョーズ:かめきちの水槽で同居してるどじょうの群れ


モリがきて3ヶ月くらいになるけどモリはメリをみてフギャーというのがおさまらない。

なのでモリを別室から出すことができない。

モリとメリは仲良くならないのかもしれない。


モリはずいぶん人間のことは好きになっている。

アトリエで作業をしていたらにゃんにゃか言ってわたしを呼びつけることもよくある。

こないだ背中の筋を痛めてしまったので安静にすべくモリの部屋で寝っ転がっていたらわたしの腕を枕にしてブヒィと鼻息荒く眠ってくれた。

撫で始めたらかなり早い段階でゴロゴロも聞かせてくれる。


モリはむっちりしていて可愛いし、毛色のバランスを考えてもミリとメリと仲良くする光景はかなりいいものになるはず。

でもメリをひとめみただけでフギャーといって怒ってびびるのでは仲良くなりようがない。


そこできのう、雨の日。

アトリエではミリとメリがいつも通り寝ている。

雨の日はふたりとも活動量が減ってだいたい寝ている。

モリがとなりの自分の部屋からニャッニャッとわたしを呼んだ。

そっと扉を開けて、もっちりと抱えて、作業机にのせてみた。

作業机からはミリとメリが見下ろせる。

モリは何時間もそこにいて、ちょっと眠ったり、わたしの作業をみつめたり、ミリとメリが仲良く毛繕いをしあったりしているのをみていた。

メリはたまにモリにメンチを切ってたけどまあ特に気にとめていないようすだった。

いっときはぬげたも夫もアトリエにやってきて寝転がり、水槽組以外の家族がひと部屋に揃うという素晴らしき平和的風景が広がった。

これならみんなで水槽のある台所でくつろぐ未来も近いであろうと感じられる、夢の広がるいい風景だった。


しかし、寝っころがるのに飽きたメリがなにげに作業机に飛び乗った瞬間に、いままでの平和を破るモリのおおきなフギャーが出た。

メリはなにもしてない。

机にのっただけだ。

さっきまで何時間も平和だったのはモリのパーソナルスペースにメリがいなかったからみたい。

モリにフギャーをされるとメリは様子がおかしくなる。

鼻息が荒くなり、うごきがゆっくりになり、身体が硬くなる。

作業中の紙たちを守るためわたしは両手がふさがってしまい、モリを見つめるメリの強い瞳、フギャーの姿勢のまま場所をどこうとしないモリ、どうする!となったときにフギャーをききつけて夫がぬげたをつれてアトリエに入ってきた。

ぬげたは夫が歩いたのでうしろについてきただけだが。

モリは急展開に驚き自分の部屋へ脱兎とゆき、メリも作業机からとびのき、紙は守られ、夫は警官の役割を果たしたことに満足げに鼻息をふかし、ぬげたとともに出て行った。


モリはメリと仲良くならないのかもしれない。

みんなで団らんは諦めたほうがいい夢なのかもしれない。


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