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  • 執筆者の写真すずめや

空を掃除

雲をかかえて食事に行こう

きっと青菜を喰むだろう


あの貧弱な木々の立つ

林を抜けたその先の

さみしい地平に立っている

石造りのあの店へ


薄鼠色のリネンのクロスに

今にも割れそうな皿のそば

真鍮の頼りないカトラリーを

おどおど使う雲のむかいで


古く、磨き上げられた小さな椅子を

わたしの雲のために引いてやる

小さなお尻がそこに乗るのを

椅子にかけたままのわたしの掌が感じるだろう


酢ばかりきいて、味気ない

あの店のサラドを雲が喰む


帰りは森を通りましょう

じゅくじゅく熟れた野の実など

わたしの雲に食わせてやろう


顎に手をかけ、口を開かせ、そのくちびるに押し込んでやるのだ


そしたら雲は染まるだろう

白にすこしの赤を混ぜたら


わたしはそしたら食べてやろう

桃色に染まったわたしの雲を

きっと彼女もうれしいだろう

どこにいっても所在がない

浮かんでいるだけのおまえがわたしの

肉となって地面に立つのだ


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