三男坊の仔猫メリ、
この世に生まれて4ヶ月。
しかしなんだかこいつは王様のような振る舞いをする。
仔猫だというのに驚き逃げることがない。
こないだはそばで目玉クリップがたくさん入った箱をがっしゃんと落としてしまったが寝転んだ椅子の上から動かなかった。
ちらとこっちは向いた。
3ヶ月くらいまではぜんぜん眠るところを見せずに常に動き回っていたがちかごろはそばで眠る。
眠ってない時は常に目玉が開いておる。
普通の顔じゃない、目玉をかっぴろげておる。
物おじしない。
わたしの椅子の上でどんと寝るので端っこを使って無理やり座らなきゃならなくなる。
次男坊のミリはそんなことしたらあっすみません!ってかんじでどいてくれる(びびりである)し、マリも若かりし頃そういうことをしたがちょっと体をくねって椅子を半分こしてくれた。
メリはどかぬ。
触るのは嬉しそうにしてくれるが、お邪魔をするのをどかそうと思って抱えるとでかい声で文句を言う。
ピャアア!と高い声でまるで無礼者!と一喝されているような言い方をする。
風呂場にも様子を見にやってくる。
普通猫は水が怖いのだ。
ミリもマリも水のたっぷりある風呂場には寄らないのだ。
せいぜい長風呂を心配して遠くから鳴くくらい。
メリは来る。
突撃してくる。
食卓の赤いソファにも乗る。
でんと構えて横になる。
ソファは王妃マリの専用席でミリは乗ってゆっくりしたことなんかない。
そちらは姐さんの席ですんで、というのをわかっている奥ゆかしい子だ。
しかしメリは違う。構えが違う。
ここは儂の座であるといわんばかり。
思えば片手に乗るようなサイズだったころからだ。
夫がそのあまりの小ささゆえに鍛えてやると言って鞠を転がすようにじゃれて遊んでやっていた。
その遊びのときも、メリは臆せず常に飛びかかってきて、こっちが疲れちゃってやめちゃっても常に戦を挑み続けてきていた。
そのころから恐れを知らぬのだ。
王の風格。
まだ他のきょうだいが別の家で引き取られてミルクを飲んでいた時期にも、もうミルクなどいらぬと拒否して離乳食を食べていた。
王の風格。
ミリは同じくらい小さい頃、夜中に寂しいようと鳴いておうおうかわいそうにとよく添い寝をしてやったものだが、メリはそんなことしない。
人間が来たら遊び道具が来たと思って飛びかかってくる。
ミリはそばに行くと安心して丸くなって寝たがメリは臨戦体制である。
猫にもこんなに生まれながらの性格があるんだな。
王者の成長がたのしみだ。
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