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  • 執筆者の写真すずめや

梅雨の空

マリはいまのとこ大丈夫。

元気とはいえない、あんまり動かない。

動かないけど表情はしっかりしていてお薬のおかげか死の影も薄くなったように思う。

いままでみたいに次男猫とじゃれて一緒に廊下をダッシュ、なんてことはできないみたい。

でも食欲はしっかりあって、選り好みもする。

おしりを拭こうとしたらいつかみたいにすごく怒って、マリはいつもすぐ怒るんだけど、怒ってくれてエネルギーがそこにはあって怖いけど嬉しかった。


次男猫があんまりマリがご馳走ばっかりもらうから僕にもくださいと言わんばかりに自分のカリカリをたべずにマリのごはんを狙う。

自分のお皿に自分のカリカリがはいっているのにパウチの入ってる箱に頬擦りをしてこれくださいなとにゃんと鳴く。

マリがこなくなったわたしの仕事部屋にいりびたって甘やかしてくれと腹を見せる。


三男猫のメリは恐ろしいほど元気。

未だ寝ているところをみたことがない。

常にダッシュ、両手を広げて助走をつけてとびかかってくる。

めんたまもいつでもかっぴらいている。

寝ているところが見たいと、そーっとメリの部屋を覗くけどいつでもばれていてこっちを見ている。

ひゃんひゃん鳴いてわがままばかり。


あふれるようないきいきとした若者の時間と、萎びてゆく老婆の時間がともにある。

いつでも世界はそうなんだろうと思うけれど、我が家の中に、愛する家族の中にそういうのが一緒にあるというのは手触りが確かにある感傷できついものがある。

毎日ずーっと奇跡がつづいて、マリがずーっとげんきだといい。


梅雨の空はだいたいいつも、夕暮れは桃色で青色のまじる美しいマジックアワーだ。

古いディズニー映画の魔法のように空は綿菓子で埋め尽くされて、葉から落ちる露が妖精の粉がひかる音を立てる。

大きな蜘蛛が、夜の狩りのために巣を作っているのをみた。

まるで空中に浮いているようだ。

魔法があったって、昔ながらの決まりでは、魔法は生死を操れない。

ただマリが幸せでいられますようにと願うだけだ。

山の雨はとても優しく、うすあかるい中に優しいシャワーのように降る。

虹が溶けたような夕暮れが来る。


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