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執筆者の写真すずめや

木枯らし

きょうはすごくへんな天気だった。


朝からごうごうと唸る風。

でかいトラックが何台も何重にも通っていくようなすさまじい風。

山から木の葉がその風に運ばれて、運ばれてと言うよりも弄ばれるように、弄ばれるようにと言うよりも濁流に流されるように、吹雪のようにいちめん舞う。

よくこんなに舞うなあと思うほど、どんどんどんどん散っていく。

木枯らし、というのは、こういうことなんだなあ。


ふと山に目をやるとあんなに青々と深々としていた緑は消え失せ、はだかんぼの木ばかりになって、山の地面が見えてしまうほど。

あそこに熊がいたらわかるんじゃないの。

昼間は急に雨が降った。

はじめは暗くなって降ったけど、変わらず風はごうごういわすのできっと雨雲が追いつかなくなって、晴れているのに雨が降り、たまにやんで、霧雨になって、やんだとおもったらざざと降り、狐もこんなにお天気に変わられちゃあ嫁入り行列はめちゃくちゃだろう。

嫁入りの行列があったら見えちゃいそうな山だけれど。


夕方、もうすぐ日が暮れる。

木々が黒ずんで、遠くはクリーム色、てっぺんはうすい水色、でも風はごうごう鳴っている。

もう木の葉は舞わない、きっと舞うような木の葉はなくなっちゃった。

庭のサラサモクレン、緑色のつやつやした手のひらほどもある大きな葉っぱをつけていて、立派な風体だったのに気づくと彼女もはだかんぼ。

緑色のころは、この葉っぱがなくなるなんて想像もつかなかった。

そんなことがあるとは知りもしなかった。

真っ赤に、オレンジに、黄色に、染まっていたカエデもはだかんぼになってしまった。


木枯らしは冬の準備をしているのだろう。

冬将軍のお出ましの前に、お掃除をしたのだ。

はいこちらがお通りの道です、綺麗に掃いておきました。

しがみついておやすみになれるよう、枝を丸出しにしておきました。

地べたは見えやすくしておきましたから、領土を広げるにはばっちりですよ。

さあこちらへどうぞ!


冬が来る、冬が来る。


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