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  • 執筆者の写真すずめや

ゆきどけ

このところ雪が溶けていくあったかい日が続いていたけれど今日はなんだか久しぶりの雪。


雪がなくなっていくのは寂しい。

新しいのがどんどん空から降ってきて、

みるみるうちに世界を変えていくさまは本当に見事だった。

積もれば積もるほど、視野の全部が太陽のきいろいひかりから青く澄んだ色に変わってゆく。

裸の木々に積もるとはじめはお正月のおもちのついた枝のようで可愛らしく、たくさん積もると葉も枝もまっしろの、異世界の植物に変わっていった。

本当に見事だった。


同時に春の待ち遠しさというのがよくわかった。

冬は寂しくて冷たい。

虫の声も、木々のざわめきもなくなって川の音も雪が吸って、あんなに賑やかだった山のなかはしんと静か。

小鳥がたまに鳴くくらい。

冬の大風は荒々しく、身震いをしたくなるような音を立てる。

異世界に閉ざされている。

これをすべて春が溶かしてあの明るい世界へ戻してくれるという。

春は強い。


自然のうごきというのは恐ろしいほど大きな力だ。

流行り病をだれかのせいにする世論を見かけるけれど、こんなふうにちからを目の当たりにすると、ぜんぶ自然のなりゆきなのだと言いたくなる。

でもこれは信仰のこころの動きの問題で、目の当たりにしている強いちからが人ならば人のせい、システムならシステムのせい、神ならば神の、そういうふうにぶれていくものなのだろう。

真実はいつもひとつじゃない。


ここまで来るまでの道のりを、毎日思う。

辿り着くことができて本当によかった。

思い出すとぎゅうぎゅうに苦しくなるいろんなことも、少しずつ雪と一緒に溶かしてゆく。

春はもうすぐ、もうすこし。


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