たとえば香りのようなもの
目視できないけど感じるもの
確かにそこにあるもの
先にそれがあって、
そこにひとさじ添えていくことで
そのものの輪郭を立ち上げていく行為
言葉もそうですね、詩も、日記も。
なにかがあって、実際にあって、
可視化はそれから。
だからたとえば愛という広くて力のある単語には、言葉を扱って表現をして生きていくものとして、全身の毛を逆立てて注意しながら使わなきゃ。
きもちに沿うためのことば、
ことばに寄せていくのではなく、
ことばに溺れるのではなく、
それは道具のひとつだから。
絵の具を触るようになってから、
意識的にずっとしてきたことでした。
まあ毎度のこと、ようやく言語化できるようになりました。
にじみだす抽象的な、大気のような、香りのような、そこにひとさじ、で輪郭を立ち上げる。
ただそのまま朧げであるまま、ちょっと見えるようになるくらい。
射した光を通して初めて気づく、まわりの埃のきらきらや、あの名前のわからない花の香りを覚えていること。
向こうが透けて見える幽霊みたいなもの、
触れなくても浮かんでいてそこにあるもの。
日々の暮らしもそういったもので、
ノートという輪郭があって、
そこで立ち上がってくる諸々。
立て続けに嬉しいお手紙が届いて、
とっても好きな人たちからで、
文字を追って、伝えてくれた気持ちとか、
ああこうやって笑う人だったなと、
文章を追いながら浮かんできたもの、
で、ああそうかそうか、とすとんと落ちました。
ちょっと落ちたりもしてましたが
優しい優しいを吸えるようになってきたので
回復していくんじゃなかろうかな、と思っています。

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