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  • 執筆者の写真すずめや

複雑キャッツ

すこし前から新入り猫のトライアルが始まっている。

うちの猫はみんなマリからはじめてあいうえお順なので名をモリという。

いまいるミリとメリは一歳すこしのとても若い猫。

新入りモリは5歳くらいのちょっと歳上猫。


毛並みはまるで大海のうねりがびろうどをかぶったようなキジ、瀟酒な純白の靴下を履いており、英国王室御用達と言われても納得してしまいそうな佇まい。

しかし動きとしては、臼から出したて、つきたてのお餅がもしも意思を持って動いたらこれくらいの鈍速であろうと思われるほどのゆっくりさ。

足も少々短く、全体的に豊満なので餅らしさに拍車がかかっている。

人間にはすぐ懐いてくれてゴロゴロフミフミのモチモチであるがメリと相性があんまりよくないみたい。


もっとも若い黒白の猫メリ、片手に乗るようなころから甘やかして育てたのと天性の性格もあるが、とにかく態度がでかく甘えん坊、そして恐れ知らず。どこぞの殿様のようである。

メリはもうなんにもかまわずにモリのいる新入り部屋に侵入してなんならそばで寝そべったりして余裕しゃくしゃくであるが、いつのまにかモリのほうが牙を剥いて唸るようになってしまった。

わたしの出張中、人間のいない時間がいつもよりは多かったためになにかがあったのかもしれない。


いつでももっちりとしたモリが、背後から近づいてきたメリに向かって、初めて見る素早さで体勢を変えて寝転んで怒るのをみた。

なんで寝転ぶのかはわからないが(素人目には寝転んだら形勢不利であろうと思うが)、モリは顔も大きく、怒るとかなり迫力がある。

メリはおそらく、自分が愛されていないということが理解できないようだ。

溺愛されて育った調子乗りの若造である。

これには少々人間の責任もある。

あとちゃんと後輩をしつけなかったミリにも責任があるかもしれない。

ミリはたいへん優しい猫なのでそれはしょうがないか。

ミリとモリはそこまで悪い関係じゃない。

お互い少々の威嚇はあるが、まあ大丈夫でしょうの範疇だ。


とりあえずメリはまだ去勢手術が終わってないのでそれをして、そしてふたりともお揃いのシャンプーで洗ってみようかと思う。

モリはすこしにおいがあるしフケが出ている。

メリもすこし毛並みが気になるし、なによりお揃いの匂い、というのは突破口になるんではないか。わからないが。


家はやたらと大きいんだしお世話する余裕があるならできれば最大限保護してやりたいという夫の素晴らしく純な提案、うむ受けよう。

ということで増えた我が家の家族、さてどうなる。

仲良くしてほしいけど嫌いなら嫌いでも構わない、ただ暴力だけは阻止せねばならぬ。

モリが唸ったらモリよりでかい声で猫っぽい鳴き方をしつつあいだに入って仲裁を試みている。

こういう間抜けなことが人目を気にせずできるのでほんとこの家はいいよなと明後日のことを考えたりもする。


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