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絵が売れた

執筆者の写真: すずめやすずめや

名古屋丸善四日め、

この名古屋丸善の催事にはちかごろ取り組んでいるパネル作品の新しいのを持ってきた。

描く、というより作る、というほうがしっくりくる絵。

層を重ねていく作品。

その新しいのが今日売れた。

そして立て続けに、以前のパネル作品の上に層を重ねてブラッシュアップした作品も売れた。

たいへん誇り高い気分で今日は晩酌の発泡酒をやめてビールにすることにした。


この挑戦は、わたしにとっては壁を越える挑戦だ。

初めて一万円を超える値を作品につけた。

それに、いままでは"使うもの"を作ってきた。

絵というのは使うものではない。


作家作品というのはある程度はそういう実用性を飛び越えた先に買うものだとは思うけれど、その飛び越えるために補助輪として"使う"という行為が作品との未来にある場合が多いと思う。

こういう時に使うから買う、という補助輪と、こんなにこだわって作られているものなのだから、という補助輪でもって走り出すのだ。

ノートも、うつわも、装身具も、衣服も鞄も、補助輪がある。

絵を買うのって、補助輪があらかた外れている状態だと思うのだ。

そこに山があるから登る、というような純粋な行為により近いと思う。


いいと思うのを、欲しいと思うのを、堪える理由はたくさんある。

それを飛び越えるのに補助輪が要る。

わたしがすごくそうだからそう思う。

欲しいと思っても理由に阻まれる。


だから絵が売れてとても嬉しい。

ごちゃごちゃ考えがちな脳から理由を一生懸命追い出して、補助輪なしでも買いたくなるものを目指して作った。

今日はほんとうにほっとした。

わたしにもそういうものが作れた。



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