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海を見ていた

  • 執筆者の写真: すずめや
    すずめや
  • 2019年12月31日
  • 読了時間: 1分

風はとても強かった。

海と、空(くう)と、雲と、空(そら)のその先が層になっていた。


はじめのうち、波打つ際は甘やかで、

ゆるく立てた甘いクリームのような感触で浜を撫でていた。

細かい砂が顔を叩く。

遠くの海は群青色、緑がかった層を経て、白い波へと経て経て進んでくる。

雲と海の間のくうは、夕暮れのくれないに徐々に侵食されてゆく。


細かい砂が顔を叩く。

遠くでたくさんの屋根が並んで進んでいく。

煙をあげてゆく。

蒸気機関車がごとごとの道を走ってゆく。

蒸気をあげてゆく。

白いけものが群れをなして向かってゆく。

ほこりを舞いあげてゆく。


夕暮れとなった球体が雲に隠れて、

ひかりだけが見える。

空の端にはもう夜が来ている。

甘やかだった波打つ際は、もう冷え切ったあおいろで、水銀のような端正な顔立ちに変わっていた。

親が子どもの眼を隠すように、夕暮れが海に沈む場所を、雲が隠していた。

雲の小屋の中で夕暮れはひとかけらの明かりを残して、見えないところで沈んでいった。

蝋燭のちいさな灯のようなひとかけら。


赤く焚いた石炭だ。

小屋の中には黄金の光はもはやなく、

天使の梯子もなくなった。

冷たい風と、海と、空のあいだの一つの小屋は、

ただ暖かく燃えていた。

それは遠くで届かない。

焦がれる焦がれた、空。


 
 
 

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