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  • 執筆者の写真すずめや

京都大丸明日からです

10月2日まで、開店から閉店までべた付きでおりますです。

よろしくお願い申し上げます。


ただいま搬入終えて、満月なので鴨川で酒を飲んでいます。

夜の鴨川は暗いから、ノートに何かも書けないので光る携帯でブログを書くです。


最近出会ったご老人の話。

個人事業主ですと、たとえば喫茶店でもそれぞれ繋がりがあって、お茶しにいくよりお話をしにゆく、というお店まみれで、その世界はその世界で好きなのですが(好きじゃなかったらこんなふうに仕事しないし)対人的にすっぴんの状態で静かにしていられる、大好きなお店は別なのです。

そういう大好きなお店で出会ったのです。

彼は終活をしているのだそうで

たくさんのいいものが、がらくたのように積まれている部屋に案内されて、えげつないええ音のスピーカーでラヴェルを聴きました。

はい、ちょっと前のブログにも書いた人です。


彼はとても頭のいいひとで、自分の美しい、をしっかり持っておられます。

少々せっかちです。

俺は死ぬから、彼女の婚活を代わりにしてやってんだ、と、もう間も無く見えなくなる目をこちらに向けて、楽しそうに話すのです。

美容部員なのにほっといたらスナックばっかり食べてる、とか、転職したいとかいうけどいまの職場がいいと思う、とか、基本的に毒を吐いたり文句を言ったりひとを小馬鹿にしたりする論調のなかにそんなあったかい賢者の石みたいなエピソードが混ざるんです。


会って6日で、彼が子供の頃お父さんと指していた将棋の盤、金と白金のこっぷしき、おはしおきにスピーカー、アンプ、ついたてに泉鏡花全集、尾崎紅葉全集、おさかなの貼り付けてある木の箱、を頂きました。

まだまだ誰かにあげたいのですって。

わたしは少し、彼と対峙することが苦しいです。

死にたい、と思うことと、死ぬんだ、と理解することは全く別の次元の話だと思うからです。

死ぬんだ、わたし。間も無く。

そうなっている人を目前にして苦しい。

でも彼の大事を大事にできるわたしで嬉しい。

事故で明日にも死ぬかもしれない、人間に賞味期限なんて、ほんとうにない、と思うのですが


死の間際に、託していただけたことをちゃんと覚えてこれから生きたい。


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