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ブッチュアブ

執筆者の写真: すずめや
すずめや
8月6日
読了時間: 3分

みょうがが出てきたので毎日やぶをかきわけせっせと地べたを這いずり回って全身泥だらけになりみょうがをとっている。とれたてみょうが便の季節だ。べつに這いずり回るのも泥だらけになるのも苦にならない、それよりもみょうがをとる楽しみの方が優っている。朝から汗だくになりシャワーをあびるのもいい。日に何度も風呂に入るっていいじゃん。今日は三度目の風呂があってかなり気分がいい。

まあいいんだけどアブがなあ〜アブが。アブがなきゃなあ〜。


吸血虫アブの野郎は大中小とさまざまなサイズでめちゃくちゃおる。スズメバチそっくりのカラーリングのでけえのもいてそいつは見た目が一番怖い。でもやっかいなのはちいちゃいやつ。服を貫通して肌を刺してくる。いたっ!て思った時にはもう遅い。こないだは脳天を二箇所やられてそこがたんこぶみたいになってかゆくてむかついた。あたまをぼりぼりかくのもみじめだ。

こんなに脳髄に近いところを刺されてしまってはアブ人間になるかもしれず、そのうち目玉が二つに割れ四つに割れ八つに割れしてだんだん膨らみ複眼となりくちびるはだんだんととんがり始めていくのだと妄想した。羽はあったらいいなと思う。


まあむかつくけどカメムシほど嫌いじゃない。ちょっと痛いし痒いけどそんなに腫れるわけでもないし臭くないし団体で来るわけじゃないし。でも夫はアブのことを憎んでいて、家んなかに入ってきたアブをしつこく追いかけ回して屠っている。車ん中にも入ってくるのを運転中にも関わらず隙を見てトドメを刺そうとしている。他人がそばで妙にエキサイトしていると逆にこっちは冷静になっちゃう、ということがあるがアブに関してはそれが起きていてわたしはべつに部屋にアブがいてもぜんぜんかまわず寝られる。


ところでアブは自動車が好きだ。

お出かけから帰ってくると自動車のドアを開ける前に一目散に集まってきてはこつんこつんと体当たりしてくる。アブはぶんぶんうるさいけど、もしかしたらぶんぶんはアブにとって鶯の鳴き声やライオンの立髪、孔雀の羽のようなものなのかもしれない。だから特別おっきいぶんぶんを鳴らしてやってきたでっかいやつに集まってくるのだ。すごいぶんぶんだ!かっこいい!とかそんなかんじで。

一目散に集まってきたアブを車内からガラス越しに見る。細いくちばしでとんとんとガラスをこづいて、ぶっちゅとキスを繰り返している。アブのくちばしの先はキスの時にだけ柔らかくなるのだろうか。自動車はでかいアブではないけどわたしはアブにそれを伝えてやることができないし、まあちょっと面白いので言葉が通じても教えてやらない。








 
 
 

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