めーめとモンティーヌはもうたぶん仲良くならない。
めーめは年上で新入りのモンティーヌがどうしても気に入らない。すきあらばメンチを切り飛びかかってやろうと虎視眈々と目は爛々と狙っている。
モンティーヌもモンティーヌで自分の間合いのなかにめーめが入ってくるとそれだけでフギャギャと超でかい声をだし四肢を投げ出して交戦の構え。
もうこれは犬猿の仲というやつだ。
しかしこのままモンティーヌがひとりきりになるのが可哀想だ。
せめて引きこもり部屋から出てこの広いうちをうろうろしたらどうかとめーめの隙をついては部屋の外に出すけれどだいたいおろされた場所のあたりにじっとして、ちょっとそのへんを嗅いでみて、よっぽどあったかいとかなければそそくさと自分の部屋に帰る。
保護施設にいたときもモンティーヌはそういう引きこもり系キャットだったらしい。
仲良しの猫はあまりいなかったんだそうだ。
でもせっかくうちにきたのに寂しいじゃないかよ、と気を揉んでいたがもうちかごろは安心している。
ホットカーペットと電気ストーブがモンティーヌ部屋についたあたりからみんみがモンティーヌ部屋に入り浸るようになったのだ。
みんみはおとなしいしびびりだしモンティーヌとものすごい仲良しというわけではないがお互い近くで寝転びあっている。
モンティーヌはふとんをかけたくない派、みんみはなんでも潜りたい派でちょうど良い塩梅で陣地を分け合ってぬくぬくしている。
モンティーヌは引きこもりだが言うときは言うかしこキャットでもあるため、自動で切れるホットカーペットがあったかくなくなったことを人間に鳴いて知らせる。
みんみはよくわかってないようでまだ寝ぼけている。
その塩梅もとても良い。
ふたりがいるときはだいたいふたりとも寝転んでいて腹を吸うのも揉むのも一緒に寝転がるのも自由、まさに寝子、これぞ大人の落ち着き空間である。
じゃあめーめが寂しくなったんじゃないかというと、めーめはめーめで仔猫のヤン子とずいぶん仲良くしておりこちらはほぼ問題なさそう。
自分は香箱にかまえて、ヤン子にせっせと毛繕いをしてもらって目を瞑ったりしてご満悦だ。
あとそもそもめーめは人間が大好きであり人間にかまってもらい甘えることがこの世でいちばんの愉悦であると思っている節がある。
めーめがぬげたを殴るのもそのせいだろうと思う。
ぬげたが人間に散歩につれていってもらったりおやつをもらったり撫でてもらったりしているのが、ぬげたの図体がでかいがためによく目に入るので、自分より人間に愛されているように思ってぬげたを殴るんだろう。
ヤン子はまだ仔猫でこの世のすべてがふしぎでたのしい。
ヤン子が大人になったらこの勢力図はどう変わるのだろう。
全員が同じ布団で寝るくらい仲良くなってくれたらうれしいけど、それはたぶん妄想の中にしか起こり得ないことである。
こういう難しいことを難しいよなと理解するのも大人だからだ。
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