りょうくん(木下)
美大の通信いきつつバイトしている、もと農家でもと老人介護施設でも働いていた
ぼく
学生やったりバイトしたりしつつノートやさん、細々続けて10年目になります。
”ちょっとりょうくん、きのうお客さんから聞いてんけど五感だけじゃないって、重力を感じるちからと加速度を感じるちからがあるって!”
”意識してないけどあるって、せやから最近おそとで遊べない子たちが椅子にちゃんと座れんくなったりするのそれらしい”
「まじすか、あったんや」
「感覚の話ですね、五感ってやっぱ考えちゃうもんですもんね」
”ねねね、綺麗、とかいいにおい、とか考えるもんね”
「話かわるんすけど、介護施設いた時、障害のあるちっちゃい子みてたことがあって」
「それで、その子はサッポロ一番塩ラーメンの袋を片時も離さないんですよ」
「なんでなんやろって担当の人にきいたら、彼女はそれを持っていたら幸せを感じるっていうんす」
”サッポロ一番塩ラーメンの袋、じゃなくて、ただの幸せの塊、ってとらえてる?”
「そうです、でも俺らやったら、考えるから、それを持ってることで幸せを感じるとしても邪魔になるときとか、考えていつでもは持ってないじゃないですか」
「それなんすよね」
”(玉ねぎをさして)これは、玉ねぎじゃなくて、からいやつ。みたいな?”
「そう。コップも俺らお茶を飲むものって捉えるけど、そうじゃないじゃないですか。花瓶にもなるしふでも洗えるし」
”コップは液体がはいるもの”
”なあそういうのフラットな捉え方、とかニュートラルな視点、とかいうねんけどさ”
”こう、単純に目線が上になればなるほど視野広がるやん?見下ろす世界広くなるやん?”
「色即是空」
”それ!!!!!!”
「坊さんによって解釈の仕方違うらしいんですけど、自分が聞いたのは例えば葉っぱが枯れるじゃないですか、その枯れるまでの時間の流れを色っていうらしいです」
”天上にほとけさんいるんやったら、すごい広い視野だよね、ほいで時間の流れまでとらえられるとしたら”
”うち色即是空の空って空間の空やと思ってたんやけど、ほんまにそらのこというたはるんかな。宇宙だわまた宇宙だわ。”
「そうっすね、視野のこと言ってるんだとしたら意味通じそうっすね」
「自分、最近その、絵描きだ、とか、学生だ、とか、名前とか肩書き考えないようにしてて。自分がいやってのもあるんですけど、考えること、思考のせいですごい窮屈になる気がしてて」
”わかるわ。社会性動物だからそういう名前がつくって、それだけの話やとわたしは思ってるわ。で、そういう名前が、役割がないと社会にならねえんだ。仕事とか”
「なるほど。ああそろそろ時間や。」
「むらまつさん、最近生活の方はどうなんすか。」
”正直いまいちばんしんどい、怖い、よくひとりで泣くよ。”
”やってけねえんじゃないかなって毎日思ってる”
「むらまつさんやったら大丈夫っす。絶対大丈夫っす。」
”うん、いつもそういってくれてありがとう。きみがそういうならがんばろう。もうすこしかもしれないし。”
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