ヤン子は我が家はじめての女の子で子猫である。
しかし他の子に比べたらなんだかずいぶん様子が違う。
まず顔が大人びている。
子猫には子猫特有の顔つきというのがあるが、ヤン子はもう大人みたいな顔をしている。
子猫らしく寝転ぶ人間の腹によじ登っては降りるとか、なにもないのに弾丸ダッシュするとか、高いところによじ登ろうとして落ちるとかそういうことをするにはするが、でかい犬であるぬげたにもほとんど物おじしない。
家庭内引きこもりのモンティーヌのところにもねころびにいくし、めーめにいたっては寝ているめーめの毛繕いまでする。
猫が猫を毛繕いするのは、舐める側の猫のおおらかな受け入れの現れであると言われる。
母猫から子猫に対するそれ、兄弟分となった兄からのそれ、仲良くやろうではないかというあかし。
ヤン子は先住猫であり年上のめーめに対して毛繕いをしている。
めーめは甘えん坊将軍であるので子猫からの毛繕いを嬉しく受け入れており、めーめからヤン子に毛繕いをかえしているのはみたことがない。
さらにめーめはヤン子と一緒に寝るとき、寝ながらヤン子を抱き枕のようにしていることが多々ある。
もうこれでは大人も子供もあったものではない。
膝の上にのりたがるが、邪魔せずしっくり収まるように体制を整え、手を止めないわたしの作業音を聴きながら器用に眠る。
子猫用のカリカリを好まず、みんみの療養食を奪いにゆく。
そこらじゅう転げ回って遊んでいるが、先住猫たちと連れ立って泥棒を働く気はいまのところないようだ。
大人びていてへんてこな子猫だ。

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