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  • 執筆者の写真すずめや

ふゆのおしまいに

冬が溶けたら雨になる


足元を濡らす落ちた雨の粒はもう粒ではない

ではなんでしょう

なんだっていいんだ、どう読む?


ずーーーっと独学で製本していて、

やっぱり凝り固まったいろいろがあって、

そのこと自体は誇らしいのだけれども、

ほかに表現したくなっちゃって、どうしよう。となっていたら、お師匠さまに会えました。

いま東京にいて、いつものフィールドじゃないのに、教えてもらったんです。

彼の綴じ方、本に対する考え、つくる、について。


糸で本をかがること。

糸は、わたしにとって、重たいものだったのです。

ノートをあなたの本として捉え、仕上げ続けてきたのですけれども、そばに置くのに作り手が一折ずつ糸でかがるってヘヴィーじゃない?想いのせすぎじゃない?なんて、そうですね、中学生くらいの片想い、くらいの重みと所有欲のようなイメージを抱いていて、あんまり糸で綴じていなかったんです。

でもお師匠さまが言いました。

糸は縁を繋いだり、結ぶものだと思うって。


なんかぱかっとそこで開いたんです。

そんなふうなことは、いままで誰かにも言われていたし、糸綴じはみてきたし、触ってきたし、使っていたし、好きだったのにいざ自分が、ってなるとちょっと尻込みしちゃっていたの。

ほんとうにあのころの片想いみたいです。

わたしなんかが、とか、自身を卑下して振られたときの防御ばっかり強くって。

そしたら飛び込んできてくれた、みたいな。


今回ぶんで尋常じゃない量作ってきたハードカバーたち、

きっとしばらくもつでしょうから、

そのあいだ、あたらしいのんに手をつけます。


知ってたんだ、紙にこだわること、残すために上等なのんを使うには、無線綴じはもったいないの。

水彩紙も和紙のこともペンで書くため作られた紙たちのことも、知っていたけどわたしはそれを触れるような綴じかたをしていなかったし知らなかった。

だからそちらにふりきれなくって、作れなかった、素材に失礼だって思っていた。

でも彼らに失礼のないやりかたを、教えてもらった。教えてもらった!

ひとりでずっと作っていたのに、教えてもらった。

うれしいうれしい、ようやく触れる。


それから中身のある本も。

ノートに対してずっと考え続けてきたポエジーやイメージ、

世界をこんな風にみているよ、ってこと。

わたしも書いて、伝えよう。

ついにやりかたを知ったよ。


どうぞみていてね、親愛なるみなさま。


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