でっかい秋
- すずめや

- 10月31日
- 読了時間: 2分
帰りたい帰りたいとめそめそしていた長期出張から帰ってきて2日もせずに東京に行商に行くのだ。
冬ごもりのまえにがんばらなくちゃならない。
久しぶりに帰ると秋が来ていた。
山に囲まれたここでは秋はでっかい。
ちいちゃい秋はどこにもない。
木々のお化粧はどんどん深い色になってゆき、お洒落にわくわくしてこんもりと膨らんでいくように見える。
じっさいは落葉しているのだけれど。
葉が落ちると地面を見て歩くのも楽しい。
いつもなら頭上にいてよく見られない葉っぱたちが落ちてきている。
顔よりでかい木蓮の葉、トリケラトプスみたいにとんがっているの、鳥の羽のような銀色の葉、紅葉もよく見ればいろいろなかたちがあり、駅前広場では、大きな真っ白のお花がいちめんに散っている、と思ったら白い落ち葉だった。
かさかさになりきっていないのを選んで拾い、絵の具を塗って装丁にする。
毎日のように熊の被害のニュースがあるので、散歩の時は爆音スピーカーおばさんになっている。
さすがに人家が近づくと音を下げるけれど。
ぬげたの歩くのにはビートルズのオブラディオブラダがぴったり似合う。
リズムに合わせて歩いてるのかと思うくらい、さくさく落ち葉を踏んでしっぽを振ってわたしを引っ張るように進んでいくぬげた。
変な呪文を歌い続けて笑って、そんなふうに彼の人生が続くといい。
ララララ、ライフゴーズオン。









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