あさから、はぜるはずのない昨日焼いた豆がはぜたり、落ちひんとこにあったもんが落ちたり、変な雨が降ったり
きょうは大学時代の恩師に生きているうちに会えるであろう最後の日でした
パートナーのかたが、もう、今日明日にはいのちがおわってしまうかもしれない
さいごにみんなにあわせてあげたい
卒業の証書を渡す日に、そうあわせて段取りをくまはったんです
おみせなんて、やすんでよかった
でもできなかったです
それはただ、わたしがびびっていたから
みるのがほんとうに怖かった
誰かの最後をみるのははじめてではないけれど
これからきっと、そういうことも増えていくんだろうけれど
準備みたいのにだんだん慣れてゆくのだろうけれど
話したいこと、というか
教えてほしいことたくさんあって
考えたって仕様もないのに考えてしまう
会いにいったともだちが、後輩たちがそのあとうちまで来てくれて、久し振りに会えた子もいて、笑って話しましてみんなでご飯もたべました
生きるために食べる
その時間のおんなじところで、せんせいは最後を生きている
笑いながらああいまごろ、なんてふと引き戻されて、こんなぐちぐち考えるんなら会いに行けば、でも無理だろうな会わなかった。
同期ちゃんとそのあと、お酒を一杯と珈琲をしにふたりでゆきました
ぽつぽつと話す
様子を聞く
そうかあ、そうかあ、って
マスターがショパンをかけてくれて
そのアルバムのピアノ弾きは、モルヒネを打ちながら演奏をしてそこでこと切れたんだって
空の上のほうはまだ冬みたいでキンと澄んだ夜空
ぼくらの歩く地面から、3メートルくらいは早春の、冷たいけれど芽吹きを感じる空気があって
せんせい、せんせい
前からわかっていたのにね
一緒にいったともだちは、
そのときがその場であってもいいようにいろいろな準備をして、全部持っていこうかとも思ったけれどやめたと言いました
持っていったら、なんだかそう決まっちゃいそうな気がするねえと私が言って、彼もそうだねえと言って、珈琲を飲んだ
L字のカウンターの違う席では和気藹々のグループがいて、聞こえる会話に2人で笑いもしたんだけれど、せんせいのはなしばかりでもなかったけれど
そのお店で、夏頃だったかな、もう次の桜は見れないんだ、って人に会ったの
遺品整理だなんて、なんかいろいろいただいたの
みんなそのひとには、ここしばらく会えていないそうです
シュレディンガーだね、なんて言って
せんせい気持ちよく眠れていたらいいね、なんて言って
会える時に会わなくちゃだね、と言い合いました
そのときが来るのは生まれた瞬間に決まっているんだものね
知っていたけどまだ、わかんないです。

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