猫たち
みんみ 本名ミリ、白茶の次男坊、2歳くらい、おとなしめ
めーめ 本名メリ、黒白の三男坊、一歳くらい、甘えん坊将軍
モンティーヌ 本名モリ、でっぷりとしたキジ、新入りだが四男坊扱い、5歳くらい、ひきこもり気質
ヤン子 本名ヤリ、ミケの女の子、やんちゃざかりの子猫
夕方6時を過ぎるとモンティーヌがお腹減りましたとひゃんひゃん言い出す。
モンティーヌはずいぶんでっぷりしているし歳上だが家族の中でいちばん可愛い高い声の持ち主である。にゃんにゃんというよりひゃんひゃんと鳴く。
そしてしばらくするとそばにみんみがごろにゃんにゃとやってくる。
みんみは賢く、基本的ににゃーと言うときはごはんを催促するとき。彼はごはんの催促の際は驚くほど可愛い表情を作ることができる。
モンティーヌは基本的に引きこもりなので遠くからひゃんひゃん言うだけだがみんみは積極的頭ぶつけにはじまり、作業台へも登るし足元でお腹をみせたりあの手この手で気を引こうとする。
根負けして作業の手をとめてごはんの用意をする。
まずみんなの水を変える。
猫だけで今4匹もいるので往復、水皿とごはん皿を回収。
水はこぼしちゃうのでまず水だけ慎重にごはん置き場にもどす。
もうごはんの支度が始まっているとわかっているみんなは水だと分かっていてもいったんは嗅ぎにくる。
皿を並べ、みんみはこないだ盗み食いのしすぎで結石ができたから尿ケア用のブレンドカリカリ、めーめとモンティーヌはふつうおとなカリカリ、ヤン子には子猫用カリカリ、とそれぞれのごはんを盛る。
カリカリの音で犬のぬげたが笑顔になる。
ぬげたにも一緒にごはんをやろう。
みんみとめーめは隣り合ったごはん置き場で食事をする。
なんと賢いことに、ふたりはそれぞれの皿から食べる。
みんみだけが療養食なのではじめは閉じ込めたりしていたが、そうすると閉じ込められたことに気を取られてごはんを食べなかったりしてかえってよくなかった。
賢いこの子たちには物理的な断絶は必要なかった。
(でもたまに入れ替わっているらしい)
みんみとめーめのとこにごはん皿を置くとまずヤン子がダッシュでやってくる。
ヤン子は小さいだけあってダッシュの勢いがまるで弾丸、全身で駆けてくるのでみんみとめーめは怯んでしまう。
しかし小さいだけあって片手で持ち上げられるため人間がついていれば大した脅威ではない。
片手でヤン子をもち、片手でモンティーヌとヤン子のごはんをはこぶ。
ヤン子から手を離すと自分の番だというのがわかっているらしく自分のごはん置き場にまた弾丸ダッシュする。
子猫特有の細い手足、くわえてでっぱり腹をかかえているのに弾丸のように駆け、跳ねるのはみていて不思議だ。そんな動きができるような体じゃないだろと思う。
若さって爆発だ。
ヤン子は子猫用のごはんに不満があるらしく、ひどいときはそのまま弾丸Uターンをかましみんみとめーめのごはん皿へ向かう。
なのでヤン子がごはんを食べる場所はふすまを閉められる場所。
食べ終わるまでお外に出さないのだ。
しかしちかごろは半分ほど食べて、外にいる人間にむかって悲壮な声で鳴く。
もうごはんたべましたよ、出して出してといわんばかり。
そこで油断してふすまを開けるとその途端に弾丸ダッシュでひとのカリカリを奪いに行こうとする。騙されてはならない。せめてみんなのごはんが終わるまで、しばらく閉じ込めておかねばならない。
モンティーヌはずっとひゃんひゃん言っている、大変おとなしいのでごはんがきたらもうあとはすぐ食べ始めてだまっている。
でも彼が来てしばらくはごはんをすぐに食べなくて、ていうかあまり食べなくて引きこもっているのでずいぶん心配した。
いまはなんやかやと催促の鳴き声で呼んでくれるしごはんもすぐ食べるので安心している。
引きこもりは保護施設にいるときからの性格だそうだが、呼びつけるだけでなくてたまにはそっちからこっちにきてくれてもいいんじゃないのとは思う。
まあでも呼びつけてもらえるようになってよかった。好かれてはいるようだ。
カリカリの準備をしていると、みんなが口々ににゃあにゃあ言ってそわそわしていて、ごはんだと喜んでいて、ごはんを食べるのは嬉しそうで、そのごはんはわたしの稼いだお金で買ったけれど、そのお金の出所である仕事ができているのは夫のサポートがあるからであり、16年も作り続けてきた過去のわたしがいるからでもあり、そして買ってくださったお客さんがいるからであり、というように考え始めると途方もない幸せと愉悦がそこにあるのであった。
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