いちめんに五月
- すずめや

- 5月9日
- 読了時間: 2分
名古屋から帰ってきたら岩手は一変していて冬の気配なんてかけらもないみどりいろ、新芽の喜びなんてささやかな感じはとっくに風に吹かれて無くなったようだ。草刈りをしてもいいくらい。
クローバーが繁り、イタドリも伸び、山は一部の桜か梅か桃かわかんないピンクのもりもり以外はぜんぶみどり、足元にはチューリップがようやく咲いて、たんぽぽがふっくらとして、すずらんの花が鳴り、モクレンは散りかけ、カタクリや水芭蕉やすみれやつくしやクロッカスも姿を消していた。
ああ、季節が変わった!
とたんに外仕事をしたくなるけれどたくさんやらなきゃいけないことがあって土まみれになれるのはまだ先だ。夫はいないうちにわたしの好物の豆類を植えてくれていた。近所の紳士が耕運機をかけてくれた。ぬげたと夫と一緒に畑いじりをしたい。叶わない夢。こんなに五月に仕事を入れるんじゃなかった。
とはいえほんとにいけない、いけない、いけないよと思いつつもひまわりの種を植えた。時間を割くことができなかったのでうわーっと両手で適当に畝立てをして二袋ぶんのひまわりを蒔いた。
ひまわり畑はでかいにこしたことがないのであと四袋ぶんは蒔きたい、可能ならば六袋は蒔きたい、畑の花といえばひまわりに決まっているからだ。
草刈りをしたい。草刈り機をぶんぶんいわせるのは気持ちがいい。けれど本当に時間がない。やんたやんたやんた、草刈りもして仕事もやりたい。
そのかわり六月はぽかんと空いた。
月末のまつもとクラフトまですごーく頑張らなきゃならないけれどそれが終わったら土いじりも草刈りも小枝割りも薪積みもしたいようにできるはずだ。なんとか五月を乗り切らなきゃいけない。
みどりいろは一面に笑んでこちらを見ている。
お外はいいよう、いまは蜂もアブも蛇もヒルも寝ているし、お外に出るにはいちばんいいよう。
田んぼに水が張られあかるい五月に迎えられ畑仕事の人々がなにやら腰をかがめて作業をしている。お外でお肉を焼きたい。べつにさかなでもいい。ああ五月、なんて美しいのだろう。




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