すずめや2019年4月14日1 分春の小川さようならを願って 泣くように散る あの花の一片を のせて はしる すきとおった水 まだおよぎだす前のいのちが まくにつつまれて丸くなって うすいみどりのゆびさきに じっとしているのをなでている すきとおった水 ぬくもってゆく世界の温度を まだもう少しと冷ましながら...
すずめや2019年4月14日1 分はちみつについてべたつくあの甘味 こどもを殺すほどの栄養価 きんいろのみつ 可憐な儚い花々を 有機的な曲線と針を持つ あの昆虫が 襲っているような絵面で 集めているんだと かの女らが秘密に溜めた蜜を かの女らはみな 心から うんと うなづいたろうか ぼくがそう思いたくないのだろうか...
すずめや2019年4月14日1 分どらみんぐ(ドコドコドコドコ) たいこが鳴っている おなかのなかから 見上げたくもりの夜空から つむった目のうらの世界から 閉じられた だれかの冷蔵庫から そのたいこは単調にただ鳴る それを打つばちはきっと木製の そう、ちぎれてしまうためにあるような 革は一枚も貼っていない...
すずめや2019年3月30日1 分アニーあのこは すぐに かける 鳥の羽毛のふくらみを思わせるような笑顔で いつもなにかに感激している あのこのすてきは明朗だ よく うたう かなしいときにはおどけている せなかを丸めてうずくまるものの そばまで すぐに かける...
すずめや2019年3月30日1 分そうのはなしたまごとさとうとこむぎこを うすくきをつけてやいたのに あわあわをとおりこすまで がんばってがんばってまぜてできるクリームを みずのなかにすむよわいいきものの はらのかわのようにやいたのに かいがらのこなみたいにしろい あまい やらかい クリームを はさんで かさねて...
すずめや2019年3月30日1 分ある少年の片想いあふれてこぼれてしまうことを ぼくはいのる つよくいのる 吐き出すけむりがたゆたうかべの中を まえもうしろも気にせずに進むきみを 描きつづけてこのまましんだら ぼくのむくろははじけてしまって 永遠にながれでる 川のもとになる 川はいつでも海へつづいて...
すずめや2019年3月30日1 分いちごあめかべんはかれんにかるいしろ こんがりつやめきつよめのみどり むくむくふくれてうすみどり かおりもふくれていろづいて まっかになったらくびからちぎる あまいあまいのすべてのもとを じくじくなるまであたためて あのこはとっくにあかいのに じくじくなってるあまいのに...
すずめや2019年2月23日1 分あまやかしのまやかし笑え笑え日々の糧を置いたその小机を退けて 笑え笑え甘いもの、やわらかなそれぞれを引き寄せて あまやかしのまやかしを知ってなおめくらになれ すこしの助けにもならぬものたちであると 無意識に食べるがいい彼らに無礼であるがいい どれだけ繊細な心をくだいたクリームであれ...
すずめや2019年2月22日1 分空を掃除雲をかかえて食事に行こう きっと青菜を喰むだろう あの貧弱な木々の立つ 林を抜けたその先の さみしい地平に立っている 石造りのあの店へ 薄鼠色のリネンのクロスに 今にも割れそうな皿のそば 真鍮の頼りないカトラリーを おどおど使う雲のむかいで 古く、磨き上げられた小さな椅子を...
すずめや2019年2月21日1 分散文詩などまだまだ薫って綺麗なうちに 彼女の死の気配を感じたらば 逆さに吊るしたらそれで終い とっておけるもんに、なりますねえ。 歌い出しそうなくちびるに このつま先を差し出して ひそめる眉の、そのしたの 窪んだ瞳のその色を 思い出しては布を染めよう うかんであそぶ...